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2026

0329
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2012

0725
白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒

今日も二匹の元に一冊の絵本

題名は「ユメミタユメ」

村に住む一匹の兎、名前は「ラメ」

幼いラメが住むその村は

周りを高い壁で覆っていて

その高さと言ったら

大人がジャンプしてようやく手が届く

そんな壁に囲まれた村でした


食べ物や飲み物、洋服はいつも

鳥が届けてくれるので

村の誰も外の世界は知りません

一度、ラメはお母さんに聞きました

「あの壁の向こうには何があるの?」

お母さんはラメの顔を見て

「そんな事は鳥さんに聞いてよ」

と、洗い物をしながら

適当な事を言いました

諦めきれずに、ラメは鳥がきた時に

「ねえ、鳥さん?壁の向こうには何があるの?」

だけど、鳥の鳴き声なんか

到底わかるはずも無く

ラメは諦めるしかありませんでした


そんなある夜

ラメは不思議な夢を見ました

夢の中でラメを呼ぶ声がします

「かーべのむこうになにがある?
みたことないないの?もったいない
かーべのなかになにがある?
いつもとおんなじ?あきあきだ
きみはみたい?みたくない?
ついておいでよ!さあ、すぐに!」

目を覚ますとそこは自分の部屋

夢と思えない位、目はぱっちり

声は窓の外から聞こえます

小さな窓を半分位開けて

そーっとそとへ飛び出すと

さっきの声がまた聞こえます

「こっちこっち!」

声に引き寄せられる様に

ラメは村の道をポテポテ

聞こえるのはラメの足音だけ

続く道を歩いていくと

壁の側にたどり着きました

そこには目印のように

壁にばってんの印がありました

壁の上から声がします

「ここから上がっておいでよ!」

見上げるとそこには

暗くて良く見えないけど

一匹の兎が壁のてっぺんに腰掛けて

ラメを見下ろしています

ラメは言いました

「そんな所に腰掛けて危ないよ?」

兎はケラケラ笑いながら

「なーに、こんなもの、よっと」

と、立ち上がると壁の上で

片足で立って見せました

慌てたラメは尻餅をつきます

その兎は、ラメを見下ろして

「君の夢は終わらない。目が覚めても
夢のまた夢。」

空が明るくなり出して

もうちょっとで兎の顔が見える所で

はっと目が覚めると

ラメを太陽の光と優しいお母さんが

迎えていました

それから何日かに一度

同じように声に呼ばれては

壁を超えられずに

夢から目が覚める日が続きました

「夢のまた夢。」


3年の月日がたちました

3年たったラメは大人っぽく

体も大きくなり

村の仕事のお手伝いをするまでに

変わらないのは相変わらず見る夢

ますます大きくなるのは

壁の先への興味でした

鳥が運んでくるあの壁の向こうに

どんな世界が広がるのだろう

誰も知らないその世界

周りは今のままで満足だけど

ラメは知りたくて仕方ないのです


そんな時にまたあの夢を見ました

いつものように、ばってんの印の下

兎は言います

「君の夢は終わらない。夢のまた夢」

ラメは明け始める空のなか

兎に問いかけました

「僕の夢はいつ終わるの?目を覚ましたのに夢なんておかしいや!」

すると消えかかる景色の中で

「本当の夢が叶うまで、君はベッドの中と一緒。夢のまた夢の答えを探せ」

目が覚めたラメの脳裏に

兎の言葉がこだまします

夢のまた夢の答え

それは夢?じゃないの?

僕の夢?兎の言う夢は違う夢?

そして、はっと気づいたのです

ラメの夢


その夜、簡単な荷物をまとめると

小さな窓を一番上まであげて

あの日のように外に出ました

夢の中と同じように

呼ばれた道をポテポテ

これも同じで聞こえるのは足音だけ

そして、辿り着いたのは

ばってん印の壁の下

初めて来たそこには

まさかのばってん印

夢で見た景色と同じです

見上げた壁はまだ少し

高く思えて、もう戻れないかも

そんな気持ちで足が震えます

でも、兎の言葉が背中を押すように

その足を前へと進めます

勢いをつけて、

心に強い翼をつけて、

夢見た壁の向こう側へ

足を揃えて踏み込みジャンプ

壁のてっぺんに手が届きました

指を折り曲げて、足をバタバタ

力一杯体を持ち上げようとするけれど

なかなか体は持ち上がりません

段々と指も痺れて来て

もうだめだと思ったその時

「迎えに来たよ、ラメ」

その手を壁の上から誰かが掴みました

その手はとても暖かく

まるで太陽の光のよう

そしてその手に引っ張られるように

気づくと壁の上に足を引っ掛けて

そしてたどり着いた壁の上

見えた景色に広がる朝日が

とっても綺麗で

なにより終わりがないのにびっくり

ラメを引き上げてくれた手は

もうそこにはなくて

だけどラメにはそれがなんだったか

よく分かっていました

きっと、あの兎だったのだろうって

そしてもう一つ

分かったことがありました

夢のまた夢の答え

それは乗り越えた先に見えた現実

そしてそこから作る


新しい夢なんだと

ぱたん

絵本を閉じた二人の心は

なんだかほっこり

そして、夢の大切さを知りました

白い兎は言いました

「あなたの夢ってなに?」

黒い兎は首をひねってしばらく考え

「んー、なんだろ、あんまり考えた事ないけど、絵描き?詩人?歌い手?おもちゃ屋?んー、でも料理もやってみたいし、あ、アクセサリーとかも、決まらないや」

沢山の夢の話を聞いて白い兎は

くすくす笑いました

それを見て、黒い兎は逆に尋ねました

「きみの夢は何?」

白い兎は言いました

「そんなの決まってるよ。いまのまんま、それで満足」

黒い兎はそんなの夢じゃないと

叶った上に、先まで一緒じゃ

それじゃ夢にならないと

ぶーぶー、ぷんすか

白い兎はそんな黒い兎と

こんな日々を続けられるのが

一番の夢なんだよって

心の中で黒い兎に言ったのでした

その日の夜布団に潜ると

黒い兎は言いました

「横にこんな温かい幸せ、いつまでも続けばいいよね。けどこれは夢より大事な現実だけどね」

白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒

考え方が違っても

思いはいつもかさなりますように

お星に願いを

朝日に願いを




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2012

0725

白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒

今日も二匹に一冊の絵本が届きました

題名は「スナ二ネガイヲ」

小さな小さな村に住むお婆ちゃん兎がまだ子供の頃のお話です

その村に一匹の魔法使いがやってきました
とっても背の高い帽子をかぶって
立派な黒いマントをひるがえし
風になびくブロンドの髪に青い目
少年のあどけなさの残る魔法使い

「この村でいっか。ま、どうせどいつもこいつも一緒だろうしな」

皮肉気味ににやりと笑って
マントにくるりと身を隠すと
まるで消えるように一瞬で村に移動しました

村に着くと魔法使いは周りをぐるりと回ると一軒の家の前にやってきました
扉のチャイムをいたずら気味に

チリン、チリリリン、チリリリリリ

扉が壊れそうな勢いで開いて
慌てた顔をした兎が出てきました

「なんだなんだ、何かあったのか?」

キョロキョロ見渡すとそこには魔法使いが

「坊やかい?呼んだのは?」

ほっとした顔をして、兎は聞きました

「ああ、俺様だ。お前の願いを叶えにきてやった」

鼻をふふんと軽く鳴らすと魔法使いは言いました

「願い?ほほー、それはありがたいな。そんならお金もちにしてくれるかい?坊やには難しいお願いしちゃったか。」

突然来た魔法使いを信じるわけもなく、兎は魔法使いをからかうような口ぶりで答えました
魔法使いはにやりと笑うと

「本当にそれでいいんだな?後悔しないな?」
と兎に尋ねました

兎は、ははは、と笑い魔法使いの頭を撫でると、よろしく頼むよ、と言い家の中に帰って行きました
しかし、明くる日兎が起き上がると。

まあ、びっくり

家の中にあふれんばかりの金貨
引き出しの中からも冷蔵庫の中からも
昨日飲み残したグラスの中にまで

兎は魔法使いの事を思い出し、心から喜びました

そうして、兎はその日ありとあらゆるものを金貨で買って帰り
こんな日々が毎日続くのだと高笑いでお酒のビンを抱いて眠りにつきました

次の日の朝が来て、目を覚ました兎が寝返りをうつと

頬をざらざらとしたものが触れました
何かと思い、目をごしごしとこすると、目の中にそれは入り込みチクっと刺すようなような痛みに襲われました
驚いてよく見てみるとそれは灰色に鈍く光る砂でした
そしてそれが昨日の金貨であると気づいたのは部屋中に舞う砂の山を見た後の事でした

今に昨日買った店の主人達にばれたら大変な事になる
そう思った兎は荷物も持たず部屋を飛び出しました

後ろも振り返らず村から逃げて行く後ろ姿を見て
魔法使いはお腹を抱えて大笑い

「ざまあみろ、くだらない願い事するからだ。子供扱いしたのも気に食わないんだよ」

それからも魔法使いは反省する事はもちろんなく、他の家のチャイムを

チリリリリリ、チリリン

チリ、チリン、チリリリン
ある兎は一生無くならないほどのフルコース料理が食べたいと願いました

次の日に美味しいフルコースを目の前に次から次へと口の中に放り込んだ兎でしたが
日がまた変わり、苦しくて目を覚まして、砂に変わった料理を目にすると
自分のお腹の中の事も何もかもに気づいて、泡を吹いて気を失いました

またある兎は大きな城が欲しいと願いました
望み通りの大きな城を手に入れましたが、それもまた砂の城
崩れ落ちた砂の山を前に、声も出ませんでした

魔法使いは言いました

「あー、面白い。次はどいつを困らせようかな」

勢いよくチャイムを鳴らします

チリン、チリリン、チリリリリリ

ドアが静かに開くと小さな女の子兎が一匹現れました

ちっ、ハズレか。と魔法使いは舌打をしました

「あの。何か御用でしたか?」
おびえ気味に女の子兎は尋ねました

魔法使いが家の中を覗き込んだ様子では、ここにはこの子以外に誰も住んでいないようです
仕方なく聞くだけ聞いてみようと
魔法使いは女の子兎に言いました

「お前の願いを俺がひとつ叶えてやろう、さぁ、何でもいいな」

どうせ大した願いもでてこないだろうと、耳の穴に小指を入れて適当に聞いてるふりをすると

「私の願いは、とっても小さなものだから。なら、魔法使いさんが次の願い事を叶えて心から感謝されますように。ってお願いします」

魔法使いは今までこんなことが無かったので慌ててしまいました
そして、なんとかこの兎の願い事を聞き出そうとして
お菓子を出してみたり、お金を出してみたり、美味しそうな料理をだしてみたりと
兎の気を引きましたが
女の子兎は家の中からクッキーを一枚取り出して、魔法使いに握らせて言いました

「簡単にポンポンだせるのは素敵だと思うけど、良かったらこういう手作りクッキーもどうぞ」

と、軽く微笑むと家の中に帰って行きました
魔法使いの手には手作りのクッキーと、砂に変わったお菓子達
なんだかとても切なくて、もどかしい気持ちになりました

それから何度も女の子兎の家の前を通っては様子を眺めては
一匹でおうちの中で生活をするその姿を見ていました

そんなある日、魔法使いがいつものように家の中を覗くと
女の子兎の姿がありません
どこに行ったのか気になり、そばに住む兎に聞いてみると
なんででも昔から女の子兎は心臓が悪く、今朝になってあまりに苦しくて倒れてしまったらしいのです
医者が言うにはもう何日も生きられないと言う話だ、ということでした

魔法使いは急いで病院に向かうと女の子兎を見つけ

「いますぐ命が欲しいといえ、お前の願いだってなれば叶えてやれる」
と、医者の手を振り切って、耳元で怒鳴りました
女の子兎は穏やかな表情で
「私の命なんてとっても小さいものだから。願い事なんてものにはならないよ。」
と言いました

魔法使いは初めて自分の無力さに気づき泣きながら、こうお願いしました

「だって。だって。クッキーうまかったんだ。誰かに何かしてもらったの初めてで。だから俺はまたお前のクッキーを食べたいんだ。いや、本当に言いたいのははそうじゃなくて。あー、お願いだ、死なないでくれ。あ、そうだ、お前の願いも叶えてないし、俺の願いも叶ってない。だから俺はお前を死なせたりしない」

そういうと、魔法使いは女の子兎が願うのを無視して魔法を唱えました
すると魔法使いの体がみるみるうちに砂になり
するすると吸い込まれるように小さくなっていくと
やがて小さな光となり、女の子兎の心臓に近づいていきました
それは良く見ると砂時計のようでした

女の子兎の体の中に包まれるように入り込むと
心の中のほうから声が聞こえてきました

「お前はこれでまだ死なない。無視して願いを叶えたから砂時計の砂が落ちきったら俺も死ぬ。それまで俺がここでお前を守っていく。だからもう小さくないと思え。お前の命は俺の命と一緒だからな。俺の命はおっきいんだ。」

本音が言えない事に魔法使いは後悔をしましたが、その気持ちはちゃんと女の子兎に伝わり
奇跡的に命を取り戻した女の子兎は、願いどおり心から感謝を魔法使いに。
それからは幸せにいつまでもいっしょ暮らしました
村でもそれからというもの、砂時計の砂が落ちきるまでに願い事を唱えると幸せになれる、という噂が広まったのです

ぱたん

白い兎と黒い兎は願い事について考えてみました

「んー。願い事って叶わないから願い事って思ってた」

黒い兎がそういうと、白い兎はたとえば?と尋ねました
黒い兎が言うには羽が欲しい、とか、海を自由に泳ぎたい、とか
ようするに不可能なことを言うのでした

逆に白い兎は言いました
「んー。私はなんだかドキドキするのがお願いって感じするけど?」
といい、どんなことかというと
明日は晴れますように、とか、誰々と仲良くなれますように、とか
ようするに結果がちゃんと出るものを言うのです


二匹の願い事の考えも分かったところで
白い兎ははっと思いついたように椅子から立ち上がりました
そして戻ってきたその手には砂時計が握られてました

「ねぇ、願い事してみない?」
黒い兎は大賛成で机の上に砂時計をセットしました
白い兎はニコニコ顔を覗くと
「準備いい?いくよ!」
と勢いよく砂時計をひっくり返しました
突然のことだったので、黒い兎はまだお願い事が決まりきらなくてあたふたあたふた
砂はどんどん落ちていき
やがて全部落ちきってしまいました

何してんの?と白い兎が笑うと、黒い兎もむきになり
すぐに砂時計をひっくり返して
「今度は君の番!」
勢いよく砂時計をテーブルに置きました

白い兎も黒い兎と同じく
突然のことでお願い事が頭の中でごちゃごちゃして決まらなくなって
砂はやっぱり落ちていき

お互い何も言わないまんま
全部落ちてしまいました

二匹は顔を見合わせて
なんでも良いって言われると
なんでも良くなくなって
簡単に口にしてるような、あれが欲しいとか
今だからこそっていう、あれがしたいとか
でも、関係ないねって

砂時計をひっくり返して
二匹で口をそろえて出た言葉は
「ま、いまのまんまでいっか」

白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒






2012

0725
白い兎と黒い兎。
二匹はいつでも一緒。

そんな二匹に一年の最後の絵本が届きました。
題名は「カナシミプライス」

一匹の茶色い兎が住む村でのお話。
いっつもいい事がなくて運の悪い兎がいました。
「なんて運が悪いんだ。もう、かなしくなる」げほげほ咳をしながら愚痴をこぼしていると。
「その悲しみは金貨2枚だね」とどこからともなく声が聞こえました。
振り向くとそこにはみすぼらしい格好でフードで顔を隠した兎が一匹。
手には2枚の金貨。
聞くと、その兎は悲しみを買ってくれる神様だというのです。
沢山の悲しい思いをしている兎を探して君を見つけたのだと。
それからと言うもの悪い事が起きる度に金貨を神様がくれる様になるので、やがて悲しみを期待する様に。
特に神様は死に対して金貨を沢山くれるので、村の誰かが死ぬ度に茶色い兎は沢山の金貨をもらいました。

金貨に変わったあとは、その出来事などどうでもよくて。

もっと悲しい事。

もっと悲しい事って。

やがて欲に溺れたあまり、茶色い兎は村の木に火をつけて村の皆を焼き殺してしまいました。沢山の人が悲しみの中で死にました。
これで沢山の金貨が貰えると急いで神様に報告しに行くと神様は一枚も金貨をくれません。

「悲しむものがいないのだから、金貨はあげられない。」

そう言うと神様は何処かに消えてしまいました。
1人残された茶色い兎は、罪悪感と孤独に耐えられず、自分の家に火をつけて死にました。

とても残酷な絵本でした。

白い兎は言いました。
「こんな絵本なんで今届いたんだろう、気分悪いよ」
黒い兎は言いました。
「そうかな、大事な絵本だと思うよ?」

一年一年、悲しみ、涙。

転んですりむいた小さな悲しみ。

離れ離れになる悲しみ。

死に出会う悲しみ。

悲しみが大きくなるほど小さな悲しみを忘れてしまいがち。

「かわいそう」と言った出来事も

より大きな悲しみが起きると何時の間にか「そんなことあったね」でおしまい。

金貨が無くてもきっと一緒。

だから、時間がたってもその悲しく思った気持ちを忘れないように。
だから、幸せでいれた事に感謝しなくちゃ。

黒い兎はそう思う、と。

黒い兎は最後にこう言いました。
「でも、こんな事、本当の優しさじゃ無いんだけどね。きっと誤魔化して、覚えてるふりとか、それが本当だよね。」

振り返ると同時に抱きつく白い兎。

華奢な黒い兎の体が壊れるくらいぎゅっと。

顔をあげて黒い兎を見て
「私がもし死んだなら、あなたは悲しいと言ってね、嘘でいい。嘘がいい。
でも、真実ならばそれがいい。」

笑う事さえも辛いのに、その涙を流さない様に。


黒い兎は白い兎の頭をなでて。


「もし、その時が来るなら、泣いたら泣いただけ愛をちょうだい。決して嘘なんかに出来ないくらい死ぬ程泣くよ。

もし、その時が来るなら、その先、生きたら生きた分だけ、生きた理由をちょうだい。迷う事なく、やっぱり一緒がいいって思えるように。」

白い兎と黒い兎。

二匹は今日も一緒。




その後ですが、あまりに悲しくなりすぎた二匹。
これじゃいけないねってなってね。
絵本の最後に小さな花の芽二つ描いて。

*いつかまた、喜びの花が咲いて、幸せが訪れますように*

って書いたんだって。






















2012

0725
白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒

今日も二匹に一冊の絵本

題名は「フウセンフワリ」

ある村に一匹の兎がいました

小さくふわふわの毛玉だらけの兎で村の皆はその兎を「わたげ」と呼びました


ある日も、てくてくわたげが坂道を下っていると、いじめっ子達がやってきて、後ろからわたげを突き飛ばしました

コロコロ転がるわたげと道に舞う白い毛玉

いじめっ子は指差して言いました

「おい、わたげ!おまえのせいで道が毛だらけだ。ちゃんと掃除しろよな、ははは」

そう言うと道の毛玉を汚いものを見るように避けながら、倒れたわたげの横を去っていきました

坂道のおしまいで傷だらけのわたげは涙を流しながら坂に散らばる無数の毛玉を一つ一つ拾いあげていきました

登り切る頃には両手には、こぼれる程の毛玉

振り返る道には涙の足跡

傷口から流れた赤い細い道

ふと見上げると一件の家が見えました

噂ではあそこには頭のおかしいおじいさん兎が住んでいて、中に足を踏み入れるともう元の世界には帰れない

そんな話でした

「僕もうこんな世界にいたくない。いっそ、別の世界に行けるのなら」


ドアの前に立つわたげが見たのは落書きだらけのドア

「くたばれ」
「どっかいけ」
「しにがみ」
「めいわくだ」
「ふこうのいえ」

何度も上から皆が書き足すので読めるのはこれ位でしたが、それはもう、元の色がわからない位埋め尽くされていました

子供達が面白半分でつけた南京錠が

ぶらぶら、ぷらーん

ドアを押してみると、意外と簡単にドアは鈍い音をたてながら開きました

ぎぎぎぎー、ざずー

恐る恐るわたげは中に足を踏み入れると中には何に使うのか分からない機械がたくさんありました

ほこりをかぶって動くのかわからない機械に、そっと指をなぞると

えがおをつくるきかい

なみだをつくるきかい

なかなおりのきかい

びょうきをなおすきかい


見れば見るほど不思議な機械達の中で一つだけ丁寧に磨かれたピカピカの機械がありました

わたげが近づいてそれを確かめに行くと

「その機械にふれるでない!」

大きな声に心臓が止まる程驚いたわたげは、勢いよく転んでしまいました

後ろを振り向くとそこには杖をついたおじいさん兎がいました


「ごめんなさい!何もしないから、僕をあっちに連れていかないで!」

他の世界に行けるなら、と思ってたのに

とっさに出た自分の一言にびっくりしましたが、それより驚いたのはそれを聞いたおじいさん兎でした

「な、なんじゃ?その話は! あっちの世界?そんな機械があるのか!教えてくれ、それはすごい発明じゃ」

話が噛み合っていない二匹はその後事情を話すと

おじいさん兎はわたげの傷を手当てして、頭をかきながら

「そんな作り話までできるとは、わしは一体何者じゃて」

白い毛並みから、ふけが舞います

わたげはそれを見て

「僕と一緒だ、白いの飛ぶ」

おじいさん兎もそれに気づくと

二匹は顔を見合わせてげらげら笑い合いました

それからしばらくの間

わたげはおじいさんと一緒に生活をはじめました

怖いと思う気持ちは自然となくなり、いつしか本当の家族のようになっていました


そんなある日、わたげはふとここに来た理由を思い出し、また悩むようになりました

この世界にいてもいつかきっと嫌な思いをする

またさみしくなる

そう思ったら、また止まったはずの涙が流れてきました

おじいさん兎にその事を話すと

おじいさん兎は震える体を抱きしめて

「おまえの目は素直な目だ、逃げずにちゃんと見たから怖いと思えた。
おまえの目はどんな誰よりもまっすぐで大事な事を知ってる。
いつかきっと晴れるさ、おまえがその目を濁さずにまっすぐ歩くだけで」


おじいさん兎はわたげを連れて裏庭に行きました

一台の古びた空気入れがあって、まわりにはタンポポ畑

一つ風船を手にとりおじいさん兎が空気いれで膨らますと紙を一枚手渡しました

「それに願い事を書いてごらん」

わたげはそこに、明るい世界が見えますように、と書いておじいさん兎に返しました

手際よくそれを紐にくくりつけて

「お空の誰かさん、この願いを叶えておくれ」

ぱっと手を離すと風船は空高く飛んで行き、雲の中に消えて行きました

おまえのもやもやも一緒に飛ばしてやった、とげらげら笑いながらおじいさん兎はわたげの頭を撫でました


それからわたげは気持ちの晴れぬ時は風船を飛ばして、だんだんと前向きな自分になって行きました


が、おじいさん兎は大分体が弱くなり、そのうち、わたげは看病するばかりになりました

心配になったわたげはその日から

じいちゃんの病気が治ります様に、と紙に書いては風船を飛ばしはじめました

一つでは足りないと思い、次の日は二つ、次の日は三つと、数も増えて行きました

けれど、おじいさん兎がよくなる事はなく、やがて風船も最後の一個になりました

おじいさん兎は言いました

「もう、わしのことはええ。最後の一個は自分の為に使いなさい」


おじいさん兎はその日の夜に深い眠りについたまま、もう目を開けてはくれませんでした

わたげは静かに眠るおじいさん兎を抱きかかえると、たんぽぽ畑の真ん中に毛布に包んで埋めてあげました

大事にしてたぼろぼろの杖に膨らんだ最後の風船をくくりつけて

お墓の代わりに立てるとお願いをしました

「あっちの世界は晴れていますか?
もし雨が降るのなら傘を渡してあげてください。
風が強いなら支えてあげてください。
どうか、幸せになってください。」


びゅーん、ひゅるるー


強い風が吹いてたんぽぽのわたげが舞ったかと思うと

杖の周りに集まって不思議な事が起こりました

風船がふわりと浮かんだかと思うと

重たい杖をくくりつけたまま空に浮かんだのです

たんぽぽのわたげが杖の周りを飛びながら

まるでそれを手伝う様に杖と風船は空高く飛んで行きました

その時、わたげには見えたのです

飛んでいくたんぽぽのわたげに、ついているはずのない白い羽が

きっとあれは妖精

おまじないは本当だったよ、青空を見上げて、わたげはおじいさん兎に言いました


ぱたん


二匹は物語を読み終えて、お互いの目を見合いました

「まっすぐ素直な目、してる?」

黒い兎は尋ねました

白い兎は首を縦に大きく振って

「もちろん、あなたほどお人好しなら、そりゃもうまっすぐ」

黒い兎は褒められたのかちょっと不満げでしたが、ありがとうと言いました

そして、白い兎の目を見て

「君もきっとまっすぐだよ。どんな事からも逃げなかった、強くてまっすぐな目」

白い兎は照れ臭そうに笑うと、ぷいっと後ろを向いて窓を開けました

すると、とってもいい天気

晴れ晴れとした空を眺めて、きっとおじいさん兎は幸せになれて、わたげもこんな青空をみてるよね?と心の中で呟きました

空にはたんぽぽのわたげがふわりふわりと、晴れた空に気持ちよく舞っていました

白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒

2012

0725
白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒

今日はエイプリルフール

黒い兎は洗い物を終えて
本を読んでいる白い兎に言いました
「ねぇ、面白いお話聞かせてあげようか?」
白い兎は呼んでいた本を閉じると
「どんなお話?」

黒い兎はお気に入りの椅子に腰掛けると
「今からするのは嘘のお話です」
そう言って一呼吸するとゆっくりと話し始めました

あるところに三匹の兎がいました
名前は「ロア」「ロイ」「ローエ」
年上の明るいロアと年下の恥かしがりやのロイ、それと幼馴染の女の子「ローエ」
そんな三匹のお話です

三匹の住む村は山奥にある小さな炭鉱で
黒い煙がいつもモクモク
仕事で来る大人が多い村で
唯一小さな三匹はいつも可愛がられていました

特にロアは大人勝りな力持ち
人手が足りない時には手伝いを頼まれる
そんな皆から頼られる存在でした

そんなロアに憧れているロイはいつも
ロアの後ろにいつも引っ付いて
重い荷物を運ぶ姿を見るのが大好き
いつか自分もロアみたいになりたいと思っていました

ローエはそんな二匹のお姉さんのような存在で
疲れて帰ってきた皆にご飯を持っていったり
汚れた服を洗濯したり、布団を用意したりと
彼女のおかげで皆も仕事で愚痴をこぼしたりしません

ロアとローエは生まれた頃からの仲良しで
そこにロイが来てからは三匹でよく一緒にいることが多くなりました

ロアとローエは仕事の事を忘れて楽しくおしゃべり
ロイはいつもロアの後ろで楽しそうに話す二匹を眺めていました

その日は好きな時間の話をしていて
ロアはこう言いました
「俺は断然仕事してる時だな、汗流して仕事して、こんなに気持ちいいとは思ってなかったし」
続けてローエが言います
「じゃあ、私はそんなロアやみんなが作ったご飯を美味しそうに食べてるときかな、本当においしそうに食べるよね」
そうかな、とロアが笑い
そうよ、とローエが笑顔で答えます

「ロイ君の好きな時間は?」
ローエがロアの後ろに隠れるように座っていたロイに、顔を近づけて聞きました
ロイは肩をピクッとさせてしばらくローエを見つめると
慌てるようにくるっと振り向いて
バタバタと走って行ってしまいました
「あーあ。まただわ。私、嫌われているのかな」
ローエは唇を一文字にして困った表情をしました
「そんなことないだろ。きっと恥かしいだけだって」
ローエの背中をポンと叩くとロアはローエを励ましました

その頃ロイは家のベッドの中で膝を抱えていました
家に逃げ込むようにドアも閉めずに
簡単な事なのにどうして言えないんだろう
あんなに優しくしてくれてるのに
どうして伝えられないんだろう
一人で考えても答えなんてでないのに
ロアならきっとこんな風にはならないのに

そんな時、ふとカレンダーに目をやると
日付は3月31日
明日はエイプリルフール
本当の気持ちを素直に伝えられないなら
この日に嘘も混ぜたら少しは伝えられるかも
きっと笑って僕の事も分かってくれて
そこから仲良くなれるかも

そう思ったロイは顔を見て伝えるのは難しいと思い
机の中から便箋を一枚取り出すと
ローエ宛に、こう書きました

「この手紙は嘘の手紙です
僕はローエの事が大好きです
いつも優しくて、僕と遊んでくれてありがとう

仲良く早くなりたいのに話せなくてごめんなさい
僕の好きな時間はロアとローエと遊んでいる時間です

ずっと仲良しでいてください

全部嘘だけどね」
書き終えるとその日は手紙を抱いてロイは眠りにつきました
次の日の朝早くにローエのポストに手紙を入れると
なんだか大きな任務を終えたような
そんな達成感でいっぱいになり
ロイは力いっぱい拳を握り締めると
吐く息も荒く駆け足で家に帰りました

「ローエ手紙だよ!」
お母さん兎から手紙を受け取ると
ロイからの手紙を中から取り出して
嘘の手紙を読んでいきます

「これは嘘の手紙?なるほど、エイプリルフールね」

最初に書いたら嘘ついてるのばればれじゃない
ローエはクスクス笑うと続きを読もうとしたのですが
「ローエの事が大好き、って大嫌いって事?」

最初は何かの間違いだと思いました
でも次の文も次の文も
どれも逆にしたら悲しくなるものばかり
やっぱり私は嫌われてたんだと
ローエはとても悲しくなり
最後まで読むことができなくなり
手紙を握り締めて部屋にこもってしまいました

そんなことは知らないロイは
喜ぶローエを想像しながらロアの所へ行きました
するといつも一緒に居るはずのローエがいないので
どうしたのか聞いてみると
なんだか手紙を読んでから部屋にこもってると言うのです

ロイはその手紙は自分が書いたものだと伝え
喜んでくれているはずだと思っていたので
どうしたのか分からなくなり
ロアに頼んで一緒にローエの家に行くことにしました

トントンとノックをすると中からお母さん兎が現れて
二匹をローエの部屋まで案内してくれました
「おーい、ローエ?俺だ、ロアだけど。どうしたんだよ?」
ドアを開けてみるとそこには、泣いているローエがいました
手にはロイからの手紙を握ったまま

「あ、あれ。僕の。僕の手紙」

ロイの声に気付きローエは振り向くと

「ロイ!どうしてこんな手紙書いたの!嫌いなら嫌いって言えばいいのに!」
と泣き叫びました

「え?嫌いなんて書いて」

最後まで言うより先に

「この手紙を読んでそんな風に思うわけないじゃない!」

と手紙を半分に破り、ロイに投げつけました
唖然とするロイを尻目にロアがその手紙を拾いました
半分になった手紙を重ね合わせてロアはその手紙をじっくり読みました
そして最後まで読んで大笑い
「何がおもしろいの!ロアも酷い!もう皆大嫌い!」

さらに泣き出すローエの背中を叩くと
ロアはこう言いました

「ローエ、ちゃーんと最後まで読んでみろよ。それにロイ。お前もお前だ。」

涙を拭いて肩をヒクヒクさせながら
もう一度手紙をローエは読んでみました

「やっぱりどう読んだって私の事嫌いってなるじゃない」
ローエはロアに言いました

「いやいや、最後、最後」

ロアは最後の一文を指差しました


:全部嘘だけどね:


「全部嘘?それがなんなの!知ってるよ!嘘の手紙って書いてあるんだから」

ロアはまだ分からないのかと、ため息をつくと
自分の傍にロイを連れて行き、自分で説明するように言いました

ロイはロアの洋服の裾をつかみながら、びくびくしながら言いました
「嘘の手紙。それも嘘だからこれは本当の手紙なんだよ、って。
そう言いたくて。でも素直に大好きって言えなくて、
最後に書いて分からなかったらって考えたら怖かったから。
僕。僕。大好きなんだよ。本当は凄く、ローエさんの事、大好きなんだよ」


言い終えると同時にロイはローエに飛びつきました

「ははは。ったく、言えんじゃねーか、ロイ。よく言えた!だから、な?ローエも許してやれよ?」
抱きつくロイの頭を撫でながら、ローエは何度も深く頷きました
それから三匹は幸せに暮らし
ずっと仲良く過ごしていきました、とさ。

「おーしまい」

白い兎はよくできた話だね、と関心して
ふと一つ疑問が浮かびました

「この話のどこが嘘だったの?嘘の手紙は分かるけど話は嘘じゃないじゃない?」

黒い兎に不思議そうに尋ねると、椅子から立ち上がり説明を始めました

「それじゃあ発表するね。一つはこれ」

机の下から一冊の絵本を取り出すと、その本を白い兎に渡しました

題名は「ウソツタエ」

「もしかして、これ?」

白い兎のはっとした顔をよそに
「そう。実は今日の朝、この本が届いてたの。それが一つ目の嘘」

そしてもう一つ、そう言いながら本を開くと
手紙に悲しんだローエが、悲しみに耐えられず
村を飛び出し、手紙は焼却炉で燃やされてしまう

ロイは急いでロアに手紙の事を伝えたけれども
もうそれはローエがいなくなった後で、嘘はもうだめだと
ロアがロイの頭を撫でる、それでおしまいになっていました

「こんなお話じゃ、かわいそうだからね。僕が途中から作り変えました。以上」
得意げな顔をした黒い兎を見て
「すごいよ、ねぇ、作家になれるんじゃない?本書いてみたら?」
と白い兎は言いました

まんざらでもない顔をして、悩んでいる姿をみて
白い兎は、くすくす笑うと

「嘘だよ、嘘。ずっと今のまんまでいいよ、変らないでそのまんま」

黒い兎は嘘なのかーと少し残念な顔をしました
白い兎は思ったのです
こんな悲しいお話を幸せな話にしてくれる
もし全部自分で作った作品ができたら
誰にも見せないで自分だけに話して欲しい
そんな風に思ったからです

これは内緒の内緒の嘘

白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒



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