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2012

0725
白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒

今日も二匹のもとに一冊の絵本

題名は「スマイルトヤマイル」

あるところに一匹の兎がいました

どんな時も笑顔で前向き

周りの皆もつられてニコニコ

皆は彼の事を「スマイル」と呼びました


そんなスマイルの住む村の外れの暗い森の中には一匹の悪魔が住んでいました

彼は、世界で一番笑顔が大嫌い

だから、笑顔になったら最後、呪いをかけられて命を取られてしまう

そんな噂が広まり、村の皆は彼の事を「ヤマイル」と呼びました


「なんてむかつく顔してやがるんだ、見てるだけで胃がムカムカしてきやがる」

ふらーっと外なんかに出なきゃよかった、とヤマイルは後悔しながらつぶやきました

今までいろんな笑顔を見てきたけれども、あんなに不愉快な笑顔ははじめて見たと

すぐにヤマイルは笑顔を奪うためにいたずらを仕掛けることにしました


草むらに身を潜めてスマイルを待つと

コロコロコロ コロコロ

タイミング良く石ころに転がしました

スマイルは勢いよくつまづいて地面にごっつんこ

それを見てヤマイルは大喜び

「さぁ、泣け。痛くて笑っていられないだろう?」

けれど、起き上ったスマイルはニコニコ

「良かった、ほかの誰かがつまづく前に気付けて」

草むらに投げ返した石ころはヤマイルのほうへ飛んでいき

よろけたヤマイルは膝をすりむいてしまいました


「あいつだけは絶対許せない、こうなったらあいつをこの世から消してやる」

怒ったヤマイルは呪いを使うことにしました


家に戻ってきたスマイルが夕食の準備をしているのを見つけると

ヤマイルは兎のおばあさんに変身して、家のチャイムを鳴らしました

ドアを開けてでてきたスマイルはいつものようにニコニコ


「すまないけれども水を一杯もらえないかね、遠くから歩いてきたんだけれども、もう喉がからからで」

困った様子で頼むと、スマイルは快くヤマイルを家の中に招きました

憎たらしいほどの笑顔にヤマイルは吐き気を抑えると、ひきつった笑顔を返して中に入って行きました

家の中はたくさんのもので溢れていて、全部村の兎たちがくれたのだとスマイルは教えてくれました

さっきの転んだ足が痛くてよろよろと歩いているのを見たスマイルはそれに気づいて言いました

「おばあさん、けがをしてるのではないですか?今手当しますからそこに座っていてください」

すぐにばんそうこうとお水を持ってスマイルはやってきました

足に触れようとした手を、とっさにヤマイルは振り払ってしまい

あわてて彼にこう言いました
「水だけで結構じゃ、そんなことまでされては申し訳ない」

もらった水を一口飲むと、お礼にこれをあげよう、と

にやりと笑うと呪文を唱えました

「笑顔にチャック、病のチャック、開けたら最後、体がぼろぼろ」

スマイルの周りを黒い煙が一瞬あらわれて彼を包み込みました

スマイルの首筋には黒い斑点のような模様がひとつ

ヤマイルは変身を解いて悪魔の姿になると呪いをかけたことを伝えました

「この呪いがかかったら最後、お前が笑うたびに病気がお前を苦しめていく。助かりたかったら、今後はずっと笑わないことだな」

やってやったと満足気なヤマイルにスマイルは近寄って

ばんそうこうを渡して言いました

「教えてくれてありがとう、ばんそうこうちゃんと貼ってくださいね、でないと傷ひどくなりますから」

呪いのせいで胸がぎゅっと苦しくなりながらも、それでもスマイルは笑顔でばんそうこうを差し出しました

ヤマイルはばんそうこうを受け取ることなくその場から去って行くと、離れた場所で頭を抱えました

「なんなんだ、あいつは。気持ち悪い、どうかしてやがる」

とはいえ、これでもう笑顔を見ないで済むのでほっとしました

さすがのスマイルも、さすがに命のが大事だろうと思ったのです


ところがあくる日、ヤマイルが目にしたのはいつもと同じようにニコニコと笑うスマイルでした

呪いがかかっていないんじゃないかと思う位、普段通りの姿を見て

思わず、ヤマイルは目をごしごしとこすり、何度も確かめなおしたほどです


きっと嘘をついていて家に帰ったら相当苦しんでいるのだろうと

先回りして、ヤマイルは家の中にこっそり入って隠れて待つことにしました

しばらくして、スマイルが帰ってきました

苦しむ姿を一目見てやろうと部屋の奥からのぞきこみました

額から冷や汗をかきながら苦しそうにするスマイルを見てヤマイルは舌なめずり


「思ったとおりだ。さっさと笑う事なんか諦めちまえ。」

ヤマイルは一日も早く、憎いスマイルが笑わなくなるのを楽しみにして部屋を出て行きました


しかし、それから何日もの間、スマイルの様子を見てびっくり

悪くなるどころか、どんどん元気になっていくではありませんか

とうとうヤマイルは直接、スマイルに会いに行くことにしました

ドアをノックせず勢いよく開けると

驚いたスマイルの首根っこを掴んで聞きました

「どうして笑っていられる?呪いは確かにかかったはずだ、お前の首筋にかけた呪いの痕だって」

首筋をみると、呪いをかけた痕が消えています

もうこうなると、わけがわからなくて、ヤマイルはその場にしゃがみこんでしまいました

スマイルは言いました

「こんばんわ、あくまさん。けが、良くなったみたいでよかったですね」

続けてこう言いました

「呪い、かかってましたよ、あの時は苦しくて苦しくて、どうにかなりそうでした。でもこれを見てたら笑えないほうがもっと苦しく思えて。」

スマイルが案内した部屋にはたくさんのみんなと撮った写真が飾られていました

どれも本当にうれしそうにニコニコと笑った写真ばかり

あくまはあまりの気持ち悪さに目をそむけました

「誰かの為に笑ったこともあった。自分の為に笑ったこともあった。でも結局自分の為には誰かの為になった。僕の笑顔はただそれだけで、でもそれだけで十分だったんです。それに気づいたら、すっと体が軽くなりました。あくまさんの呪いも、いつのまにかなくなってました。改めて気づかせてくれてむしろ感謝しています。」

ヤマイルは素直に負けを認めるしかありませんでした

「こんな事初めてだ。なんなんだ、お前は。もう、なんだかばかばかしくて笑えてくるわ」

クククと笑うヤマイルにスマイルが手を伸ばして、その手を掴むと満面の笑みで言いました

「あくまさん、あなただって笑えるじゃないですか。今の顔とっても笑えますよ」

鏡に映る自分はなんとも情けない、笑える顔をしていて

心はなんだかスカッと、どうしようもないくらい輝いた太陽みたいなスマイルに照らされた青空の様でした

ヤマイルは思わず声をあげて大笑いしました

スマイルもそれを見て一緒に大笑い

その後スマイルは幸せに暮らして

ヤマイルは奪った笑顔を返す旅にでましたとさ

おしまい


ぱたん


白い兎は本を閉じて黒い兎に手渡すと料理の準備を始めました

今日のメニューは黒い兎の大好きなものばかり

テーブルの上に並べると黒い兎は目を輝かせて大喜び

「いただきます!」

黒い兎は次々とお皿のメニューを口の中へ

あっと言う間に料理をたいらげると

「とってもおいしい!ありがとう」

ソースを口につけて満面の笑みを見て、白い兎は思いました

何気なく作っている料理は君を喜ばせるためになって

その料理のソースまみれの笑顔は私の為になる

誰かの為にが自分の為にってこういうことだよね


白い兎は心の中で

君のためなら私の全部あげてもいいかな、なんて。


口には出せず、なんだか照れくさくなって顔を赤らめていると


「ちょうだい?」


黒い兎の言葉で白い兎のほっぺたはまっかっか

思わず

「なに言ってるの?思っただけだって!」

大慌てで否定した白い兎が見たのは

フォークを咥えて目の前のお皿の料理をほしがる

きょとんとした黒い兎でした


白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒


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