2012
白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒
いつもなら昨日には絵本が届くのに
なぜか今日になっても届かない
白い兎は言いました
「絵本、届かないね?」
部屋の隅の絵本棚には次に来る絵本の為の隙間
そんな時に聞かせてくれた
黒い兎のお話です
絵本をひらくそぶりをして、黒い兎は話し始めました
これは神様の隠した絵本のお話
あるところに、誰もいませんでした
誰もいないのだから何も起きませんでした
神様はそれを見て、ある二匹の兎をその家に住まわせました
「神様ノート」と呼ばれる名簿の中、二匹の秘密や記憶を書き直して、
それがいけないことだと知りながら
何も知らない二匹の兎は新しい家での生活を楽しんでいました
もともと仲の良かった二匹ですから
場所が変わっても今までと特に変わったこともありません
神様は使いに内緒で絵本を書いて届けるように頼みました
時に悲しく、時に優しく
使いは色々なお話を考えては二匹のいない間にそっと
絵本を置いて行きました
絵本を読んだ二匹の兎は
沢山泣いたり、沢山笑ったり
絵本と共により強くお互いの愛情を深めていきました
神様もそれを見て、とても良い気分
二匹を優しく見守りました
そんなある日、使いがいつものように絵本を届けに行くときに
一匹のヘビがやってきて言いました
「おい、神様からの命令で、今日の絵本にこれを混ぜろと言われたぞ」
背中に乗せた一枚の写真を使いに渡すと
何も疑わず使いは写真を絵本に挟みました
地に降りていつものように絵本を届ける頃
神様は頭を抱えていました
写真がないのです
家の中では一匹の兎が泣き崩れて震えています
すぐに使いを呼び、何をしたと問い詰めました
「写真を、届けただと?」
言葉を失ってその場に膝をついてしまった神様は
使いにそこで待っていろ、そう言って何かを取りに行きました
部屋の隅の小さな箱の中に眠るように置かれた一冊の絵本
それを手に取ると大きくため息
使いに手渡すと、神様は言いました
「これがなんの絵本だかわかるか?」
使いは「いいえ」と答えたので
神様はこう答えました
「世界で一番悲しい幸せのお話だよ」
黒い兎は話すのをやめました
「どうしたの?二匹の兎はどうなったの?」
白い兎が尋ねます
「どうもしないさ」
黒い兎はそれ以上は口にしませんでした
白い兎は何か隠しているのがすぐに分かって
それが自分たちの事なんだと気付きました
困る顔がこれ以上みていると辛くなるので、白い兎は顔をそむけました
無言が続いてしばらく
「ねぇ?神様はなんで絵本を隠してたのかな?」
白い兎が涙を溜めて黒い兎に問いかけます
「ねぇ、君は知ってるんじゃないの?
もしそうなら話して、ちゃんと話して、聞こえるように。
もう同じ涙を流さないように。」
言葉にした瞬間に止まらずこぼれる涙が悔しくてたまりません
こんな時にこそ、笑って抱きしめてあげなくちゃいけないのに
震えた肩で抱き合ったって、体の震えなんて止められないよ
小雨がふる外のポストにそんな時
カタン、ゴトゴト
一冊の絵本が届きました
黒い兎は言いました
「来ちゃった。
僕と君はいつでも一緒、だもんね。
一緒に読もう、これが神様が隠したその絵本だよ。」
古びた箱に入れられた一冊の絵本を取り出すと
手紙が一緒に添えられていて
宛名はありません
白い兎と黒い兎
二匹の絵本に優しい雨を
二匹はいつも一緒
いつもなら昨日には絵本が届くのに
なぜか今日になっても届かない
白い兎は言いました
「絵本、届かないね?」
部屋の隅の絵本棚には次に来る絵本の為の隙間
そんな時に聞かせてくれた
黒い兎のお話です
絵本をひらくそぶりをして、黒い兎は話し始めました
これは神様の隠した絵本のお話
あるところに、誰もいませんでした
誰もいないのだから何も起きませんでした
神様はそれを見て、ある二匹の兎をその家に住まわせました
「神様ノート」と呼ばれる名簿の中、二匹の秘密や記憶を書き直して、
それがいけないことだと知りながら
何も知らない二匹の兎は新しい家での生活を楽しんでいました
もともと仲の良かった二匹ですから
場所が変わっても今までと特に変わったこともありません
神様は使いに内緒で絵本を書いて届けるように頼みました
時に悲しく、時に優しく
使いは色々なお話を考えては二匹のいない間にそっと
絵本を置いて行きました
絵本を読んだ二匹の兎は
沢山泣いたり、沢山笑ったり
絵本と共により強くお互いの愛情を深めていきました
神様もそれを見て、とても良い気分
二匹を優しく見守りました
そんなある日、使いがいつものように絵本を届けに行くときに
一匹のヘビがやってきて言いました
「おい、神様からの命令で、今日の絵本にこれを混ぜろと言われたぞ」
背中に乗せた一枚の写真を使いに渡すと
何も疑わず使いは写真を絵本に挟みました
地に降りていつものように絵本を届ける頃
神様は頭を抱えていました
写真がないのです
家の中では一匹の兎が泣き崩れて震えています
すぐに使いを呼び、何をしたと問い詰めました
「写真を、届けただと?」
言葉を失ってその場に膝をついてしまった神様は
使いにそこで待っていろ、そう言って何かを取りに行きました
部屋の隅の小さな箱の中に眠るように置かれた一冊の絵本
それを手に取ると大きくため息
使いに手渡すと、神様は言いました
「これがなんの絵本だかわかるか?」
使いは「いいえ」と答えたので
神様はこう答えました
「世界で一番悲しい幸せのお話だよ」
黒い兎は話すのをやめました
「どうしたの?二匹の兎はどうなったの?」
白い兎が尋ねます
「どうもしないさ」
黒い兎はそれ以上は口にしませんでした
白い兎は何か隠しているのがすぐに分かって
それが自分たちの事なんだと気付きました
困る顔がこれ以上みていると辛くなるので、白い兎は顔をそむけました
無言が続いてしばらく
「ねぇ?神様はなんで絵本を隠してたのかな?」
白い兎が涙を溜めて黒い兎に問いかけます
「ねぇ、君は知ってるんじゃないの?
もしそうなら話して、ちゃんと話して、聞こえるように。
もう同じ涙を流さないように。」
言葉にした瞬間に止まらずこぼれる涙が悔しくてたまりません
こんな時にこそ、笑って抱きしめてあげなくちゃいけないのに
震えた肩で抱き合ったって、体の震えなんて止められないよ
小雨がふる外のポストにそんな時
カタン、ゴトゴト
一冊の絵本が届きました
黒い兎は言いました
「来ちゃった。
僕と君はいつでも一緒、だもんね。
一緒に読もう、これが神様が隠したその絵本だよ。」
古びた箱に入れられた一冊の絵本を取り出すと
手紙が一緒に添えられていて
宛名はありません
白い兎と黒い兎
二匹の絵本に優しい雨を
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