2012
白い兎と黒い兎。
とってもとっても仲良しで。
ご飯も一緒、遊ぶも。眠るも。
寒い冬、白い兎が病気になりました。
山を越え、河を渡った、山の先の白い花。
それが必要だと聞きました。
黒い兎は言いました「その花を取って来るよ」
白い兎は止めました「そんなの必要ないよ!」
月が輝く、暗い夜。
黒い兎はそっと旅仕度。
ふわふわ小さな白兎を撫でました。
太陽煌めく、朝が来て。
白い兎は独りきり。
太陽と月が何度も何時も昇り下り。
それでも白い兎は独りきり。
皆は言いました「もう帰って来ないよ」
白い兎は言いました「必ず帰って来るよ」
春の風が白い兎の家に懐かしい香りを運びました。
転がるように飛び出して辺りをキョロキョロ見回しました。
誰も、何もいなくて。
白い兎は初めて泣きました。寂しいよ…と泣きました。
ひからびる程に泣いた後、白い兎は旅仕度。
皆は止めました「死んでしまうよ」と。
やつれた小さな身体は頼りなく。
フラフラ、ヨロヨロ力無く。
それでも白い兎は黒い兎に会う為に。
山には狼、山にはみみずく。
弱った身体では逃げ切れません。
それでも、精一杯走りました。
ずるっ
白い兎は足を踏み外し、崖の下へと落ちてしまいました。
白い兎は激しい痛みで目を醒ましました。
一輪の小さな赤い花。目に痛い程鮮やかに。
涙が零れました。ぽろり、ひとつ、ぽろり、ふたつ。
小さな赤い花、握りしめたままの黒い兎。
仲良しだった黒い兎。
ふわふわだった漆黒の毛並みはみすぼらしくパサパサで、
逞しかった身体は白い兎よりずっと、ずぅっと小さくて。
「僕にとって、何よりの薬は君だったのに」
白い兎の為に摘んだ小さな白い花は、流れ出た黒い兎の赤い血を吸い、赤くなっ
たのです。
まだ鮮やかな花。
あとほんの少し、早く旅立っていたならば。
赤い花を口に運びました。
黒い兎の命の花。そして、また、涙。
白い兎は黒い兎をおぶり崖を登り始めます。
白い兎は言いました
「帰ろう、僕等の家へ」
帰って来た白い兎を見て皆は驚きました。
真っ黒だった瞳が、真っ赤に光り。おまけに背には黒い兎。
白い兎は言いました
「寂しくなんかないんだよ、黒い兎は僕の中にいるんだもの」
白い兎は家の真ん前に黒い兎を埋めました。
ご飯も、遊ぶも、眠るも一緒。
いつしか墓には白い花が咲き乱れました。
何度か季節が巡り、白い花に抱かれるように、白い兎は眠りにつきました。
静かな永い眠り、やっと黒い兎の元へと行けるのです。
皆は白い兎を、黒い兎の横へと埋めました。
白い兎を埋めた後、白い花が落ち、実がなり始めました。
その実は赤く、やがて熟して黒くなりました。
熟しきった実は地に落ち、赤く染めるのです。
白い兎の赤い目、やがて黒い兎の目に。
そして二人の涙に、赤い血に。
いつしか誰かがこう呼びました「ラビットアイ」と。
とってもとっても仲良しで。
ご飯も一緒、遊ぶも。眠るも。
寒い冬、白い兎が病気になりました。
山を越え、河を渡った、山の先の白い花。
それが必要だと聞きました。
黒い兎は言いました「その花を取って来るよ」
白い兎は止めました「そんなの必要ないよ!」
月が輝く、暗い夜。
黒い兎はそっと旅仕度。
ふわふわ小さな白兎を撫でました。
太陽煌めく、朝が来て。
白い兎は独りきり。
太陽と月が何度も何時も昇り下り。
それでも白い兎は独りきり。
皆は言いました「もう帰って来ないよ」
白い兎は言いました「必ず帰って来るよ」
春の風が白い兎の家に懐かしい香りを運びました。
転がるように飛び出して辺りをキョロキョロ見回しました。
誰も、何もいなくて。
白い兎は初めて泣きました。寂しいよ…と泣きました。
ひからびる程に泣いた後、白い兎は旅仕度。
皆は止めました「死んでしまうよ」と。
やつれた小さな身体は頼りなく。
フラフラ、ヨロヨロ力無く。
それでも白い兎は黒い兎に会う為に。
山には狼、山にはみみずく。
弱った身体では逃げ切れません。
それでも、精一杯走りました。
ずるっ
白い兎は足を踏み外し、崖の下へと落ちてしまいました。
白い兎は激しい痛みで目を醒ましました。
一輪の小さな赤い花。目に痛い程鮮やかに。
涙が零れました。ぽろり、ひとつ、ぽろり、ふたつ。
小さな赤い花、握りしめたままの黒い兎。
仲良しだった黒い兎。
ふわふわだった漆黒の毛並みはみすぼらしくパサパサで、
逞しかった身体は白い兎よりずっと、ずぅっと小さくて。
「僕にとって、何よりの薬は君だったのに」
白い兎の為に摘んだ小さな白い花は、流れ出た黒い兎の赤い血を吸い、赤くなっ
たのです。
まだ鮮やかな花。
あとほんの少し、早く旅立っていたならば。
赤い花を口に運びました。
黒い兎の命の花。そして、また、涙。
白い兎は黒い兎をおぶり崖を登り始めます。
白い兎は言いました
「帰ろう、僕等の家へ」
帰って来た白い兎を見て皆は驚きました。
真っ黒だった瞳が、真っ赤に光り。おまけに背には黒い兎。
白い兎は言いました
「寂しくなんかないんだよ、黒い兎は僕の中にいるんだもの」
白い兎は家の真ん前に黒い兎を埋めました。
ご飯も、遊ぶも、眠るも一緒。
いつしか墓には白い花が咲き乱れました。
何度か季節が巡り、白い花に抱かれるように、白い兎は眠りにつきました。
静かな永い眠り、やっと黒い兎の元へと行けるのです。
皆は白い兎を、黒い兎の横へと埋めました。
白い兎を埋めた後、白い花が落ち、実がなり始めました。
その実は赤く、やがて熟して黒くなりました。
熟しきった実は地に落ち、赤く染めるのです。
白い兎の赤い目、やがて黒い兎の目に。
そして二人の涙に、赤い血に。
いつしか誰かがこう呼びました「ラビットアイ」と。
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