2012
白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒
今日も二匹に一冊の絵本
題名は「ニジノセイザ」
あるところにプラネとアルムという、それはそれは仲のいい兄弟兎がおりました
兄弟といっても二匹は捨て子で
雨の降る夜、ダンボールで隣り合わせになっていたのを
孤児院のおじいさんに拾われたのでした
次々に新しい家族の元に旅立っていく中で
二匹はいつまでも孤児院の兄弟のまま
だからあだ名は「売れ残り」
最初は優しかったおじいさんも段々と邪魔に感じるようになり
いつしか二匹の居場所は部屋の片隅のダンボールの中
パンくずとちょっとのミルク、たまに貰えるご褒美はボロボロ、ぱさぱさのビスケット
洋服は一着しか持っていないから、毎日交換こ
それでも二匹は一緒にいれるだけで幸せでした
せまいせまい世界の隅っこみたいなその場所で
二匹はよくこんな話をしました
「ねぇ、お星様には家族がいるのかな?」
答えはいつも一緒
星座が教えてくれる
それから二匹はダンボールにちょっとずつ
星座の絵本を見ながら星を書いていきました
オリオン座やふたご座、山羊座
たくさんの星の家族を作っては
いつかは僕達もこんな家族になるんだと
そう信じていたのです
そしてその日はやってきました
悲しいことにプラネにだけ
プラネは新しいお父さんとお母さんになる兎に
何度も何度もお願いしました
「お願いだからアルムも一緒に連れて行ってください!」
アルムの手をぎゅっとつかんで離さぬまま
その間、アルムは何も言わずじっと下を向いていました
最後は半ば強引に連れて行かれるように
プラネは車に乗せられて新しい家族に貰われて行きました
残されたアルムは残った二つのダンボールをただただ眺めていました
「隣りあわせでここにいて、育って、眠って、遊んで。でも君は星座になって。
僕は、今さら迷子のお星様になった。いっそ、流れ星になって消えちゃおうかな。
君が幸せに暮らせるように願う、そんな一筋の流れ星に。」
おじいさんも少しかわいそうになりましたが、どうにも出来ず
ただどうしても嫌がるので、プラネのダンボールを部屋の片隅に置いておく事にしました
ダンボールの中からひょっこり顔を出したら
今でも隣のダンボールからプラネが現れるんじゃないかと思っては
空っぽのダンボールを覗き込んで、小さく丸くなって泣きました
二匹でいた時より広くなったダンボールのお部屋は
今までより自分の居場所が無くなったみたいで
心をぎゅうぎゅうに押すから狭くなった気すらします
アルムは昔プラネとした小さなおまじないを思い出しました
そういえばこうやって、人差し指をピンと天井に向けて立てて
内緒の言葉を言うんだっけ、アルムは思い出したようにその言葉を呟こうとしました
すると部屋の奥から
「虹の星座」
アルムは飛び上がり、もうがむしゃらにその声の主に抱きつきました
涙と鼻水をこすりつけて、声が枯れてもいいと思う位
壊れるくらい泣き叫んで、しがみ付いてしがみ付いて
流れる涙はまるで幾粒もの流れ星のよう
「プラネ!プラネ!プラネ!プラネ!」
理由も何も聞かない、聞きたくない、そんな気持ちでいっぱいでした
今はただそこにプラネがいてくれる、それだけでいいと
その後プラネは、相手に謝って帰ってきたこと
おじいさんにこっぴどく叱られたこと
迎えに来てくれなかったから歩いて帰ってきたからとっても疲れた事
いろんな話をしました
少しの間だったのに長い旅から帰ってきたみたいに
夜も遅くなり、やがて二匹はうとうと眠くなりました
アルムがダンボールの隅っこで丸くなっていると
プラネはその隙間に入り込むようにやってきました
「狭いよ、プラネ」
いつもしていた事なのに今日はなんだか恥ずかしくて
顔を真っ赤にしてアルムは言いました
プラネはニコっと笑うと
自分のダンボールを掴み上からかぶせました
小さな四角の二匹の世界の中でプラネは話してくれました
こんな風に大きな空を閉じ込めてさ
その中で星と星を線で繋いで星座を作るんだ
汚いダンボールで隣り合わせで捨てられる
僕達みたいな売れ残りの迷子の星が
いつか全部繋がって、大きな星座になるように
人差し指が絡まって
二匹の作ったおまじない
怖がりで寂しがり屋のその星座の名前は
虹の星座
その後、プラネとアルムは孤児院で暮らし続けて
おじいさんに頼み、星のシールを散りばめた部屋を作って
孤児の子供達に星座を教えてあげました
それは後に二匹の名前を合わせてこう呼ばれました
プラネ ト アルム
プラネット ア ルーム
プラネタリウム
パタン
黒い兎はこのお話の二匹がなんだか自分たちと重なって
なんだか苦しくなりました
お話のように二匹でずっと一緒にいて
一体何を残してあげられるのだろう
一緒に何を作れるのだろう
今までだって何をしてあげられたのだろう
黒い兎は焦る気持ちに押されるように
白い兎の手伝いをしようとしました
一生懸命にやろうとすると空回るのが黒い兎の悪いところで
案の定、切った材料を落としたり
白い兎にぶつかって邪魔してしまったり
あげく、お皿を棚から出そうとしてふらついたら
がっしゃーん
白い兎がかけつけると、そこにはしりもちをついた黒い兎
割れた破片で少し地が滲んでいます
お皿を片付けた白い兎が手当てをしながら
どうして今日はそんなに頑張るのか聞くので
お話を読んでからのことを話すと
白い兎は部屋から大きな箱を持ってきました
「開けてみて」
黒い兎が箱の中を覗くと
今までのプレゼントがいっぱい
誕生日のどんぐりのネックレスに
床一面に書いてくれた白黒の花の絵
思い出の場所で撮った写真に料理の絵
どれもこれも気持ちを込めたものばかり
人差し指が黒い兎の前に出されて
顔を上げると笑顔の白い兎が言うのです
「虹の星座」
どんなに離れ離れになったって、僕達は繋がっている、いけるんだ
小さなおまじないに願いを込めて、あなたに引かれる一筋の線を信じて
白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒
二匹はいつも一緒
今日も二匹に一冊の絵本
題名は「ニジノセイザ」
あるところにプラネとアルムという、それはそれは仲のいい兄弟兎がおりました
兄弟といっても二匹は捨て子で
雨の降る夜、ダンボールで隣り合わせになっていたのを
孤児院のおじいさんに拾われたのでした
次々に新しい家族の元に旅立っていく中で
二匹はいつまでも孤児院の兄弟のまま
だからあだ名は「売れ残り」
最初は優しかったおじいさんも段々と邪魔に感じるようになり
いつしか二匹の居場所は部屋の片隅のダンボールの中
パンくずとちょっとのミルク、たまに貰えるご褒美はボロボロ、ぱさぱさのビスケット
洋服は一着しか持っていないから、毎日交換こ
それでも二匹は一緒にいれるだけで幸せでした
せまいせまい世界の隅っこみたいなその場所で
二匹はよくこんな話をしました
「ねぇ、お星様には家族がいるのかな?」
答えはいつも一緒
星座が教えてくれる
それから二匹はダンボールにちょっとずつ
星座の絵本を見ながら星を書いていきました
オリオン座やふたご座、山羊座
たくさんの星の家族を作っては
いつかは僕達もこんな家族になるんだと
そう信じていたのです
そしてその日はやってきました
悲しいことにプラネにだけ
プラネは新しいお父さんとお母さんになる兎に
何度も何度もお願いしました
「お願いだからアルムも一緒に連れて行ってください!」
アルムの手をぎゅっとつかんで離さぬまま
その間、アルムは何も言わずじっと下を向いていました
最後は半ば強引に連れて行かれるように
プラネは車に乗せられて新しい家族に貰われて行きました
残されたアルムは残った二つのダンボールをただただ眺めていました
「隣りあわせでここにいて、育って、眠って、遊んで。でも君は星座になって。
僕は、今さら迷子のお星様になった。いっそ、流れ星になって消えちゃおうかな。
君が幸せに暮らせるように願う、そんな一筋の流れ星に。」
おじいさんも少しかわいそうになりましたが、どうにも出来ず
ただどうしても嫌がるので、プラネのダンボールを部屋の片隅に置いておく事にしました
ダンボールの中からひょっこり顔を出したら
今でも隣のダンボールからプラネが現れるんじゃないかと思っては
空っぽのダンボールを覗き込んで、小さく丸くなって泣きました
二匹でいた時より広くなったダンボールのお部屋は
今までより自分の居場所が無くなったみたいで
心をぎゅうぎゅうに押すから狭くなった気すらします
アルムは昔プラネとした小さなおまじないを思い出しました
そういえばこうやって、人差し指をピンと天井に向けて立てて
内緒の言葉を言うんだっけ、アルムは思い出したようにその言葉を呟こうとしました
すると部屋の奥から
「虹の星座」
アルムは飛び上がり、もうがむしゃらにその声の主に抱きつきました
涙と鼻水をこすりつけて、声が枯れてもいいと思う位
壊れるくらい泣き叫んで、しがみ付いてしがみ付いて
流れる涙はまるで幾粒もの流れ星のよう
「プラネ!プラネ!プラネ!プラネ!」
理由も何も聞かない、聞きたくない、そんな気持ちでいっぱいでした
今はただそこにプラネがいてくれる、それだけでいいと
その後プラネは、相手に謝って帰ってきたこと
おじいさんにこっぴどく叱られたこと
迎えに来てくれなかったから歩いて帰ってきたからとっても疲れた事
いろんな話をしました
少しの間だったのに長い旅から帰ってきたみたいに
夜も遅くなり、やがて二匹はうとうと眠くなりました
アルムがダンボールの隅っこで丸くなっていると
プラネはその隙間に入り込むようにやってきました
「狭いよ、プラネ」
いつもしていた事なのに今日はなんだか恥ずかしくて
顔を真っ赤にしてアルムは言いました
プラネはニコっと笑うと
自分のダンボールを掴み上からかぶせました
小さな四角の二匹の世界の中でプラネは話してくれました
こんな風に大きな空を閉じ込めてさ
その中で星と星を線で繋いで星座を作るんだ
汚いダンボールで隣り合わせで捨てられる
僕達みたいな売れ残りの迷子の星が
いつか全部繋がって、大きな星座になるように
人差し指が絡まって
二匹の作ったおまじない
怖がりで寂しがり屋のその星座の名前は
虹の星座
その後、プラネとアルムは孤児院で暮らし続けて
おじいさんに頼み、星のシールを散りばめた部屋を作って
孤児の子供達に星座を教えてあげました
それは後に二匹の名前を合わせてこう呼ばれました
プラネ ト アルム
プラネット ア ルーム
プラネタリウム
パタン
黒い兎はこのお話の二匹がなんだか自分たちと重なって
なんだか苦しくなりました
お話のように二匹でずっと一緒にいて
一体何を残してあげられるのだろう
一緒に何を作れるのだろう
今までだって何をしてあげられたのだろう
黒い兎は焦る気持ちに押されるように
白い兎の手伝いをしようとしました
一生懸命にやろうとすると空回るのが黒い兎の悪いところで
案の定、切った材料を落としたり
白い兎にぶつかって邪魔してしまったり
あげく、お皿を棚から出そうとしてふらついたら
がっしゃーん
白い兎がかけつけると、そこにはしりもちをついた黒い兎
割れた破片で少し地が滲んでいます
お皿を片付けた白い兎が手当てをしながら
どうして今日はそんなに頑張るのか聞くので
お話を読んでからのことを話すと
白い兎は部屋から大きな箱を持ってきました
「開けてみて」
黒い兎が箱の中を覗くと
今までのプレゼントがいっぱい
誕生日のどんぐりのネックレスに
床一面に書いてくれた白黒の花の絵
思い出の場所で撮った写真に料理の絵
どれもこれも気持ちを込めたものばかり
人差し指が黒い兎の前に出されて
顔を上げると笑顔の白い兎が言うのです
「虹の星座」
どんなに離れ離れになったって、僕達は繋がっている、いけるんだ
小さなおまじないに願いを込めて、あなたに引かれる一筋の線を信じて
白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒
PR
Post your Comment