2012
白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒
今日も二匹の元に一冊の絵本
題名は「ユメミタユメ」
村に住む一匹の兎、名前は「ラメ」
幼いラメが住むその村は
周りを高い壁で覆っていて
その高さと言ったら
大人がジャンプしてようやく手が届く
そんな壁に囲まれた村でした
食べ物や飲み物、洋服はいつも
鳥が届けてくれるので
村の誰も外の世界は知りません
一度、ラメはお母さんに聞きました
「あの壁の向こうには何があるの?」
お母さんはラメの顔を見て
「そんな事は鳥さんに聞いてよ」
と、洗い物をしながら
適当な事を言いました
諦めきれずに、ラメは鳥がきた時に
「ねえ、鳥さん?壁の向こうには何があるの?」
だけど、鳥の鳴き声なんか
到底わかるはずも無く
ラメは諦めるしかありませんでした
そんなある夜
ラメは不思議な夢を見ました
夢の中でラメを呼ぶ声がします
「かーべのむこうになにがある?
みたことないないの?もったいない
かーべのなかになにがある?
いつもとおんなじ?あきあきだ
きみはみたい?みたくない?
ついておいでよ!さあ、すぐに!」
目を覚ますとそこは自分の部屋
夢と思えない位、目はぱっちり
声は窓の外から聞こえます
小さな窓を半分位開けて
そーっとそとへ飛び出すと
さっきの声がまた聞こえます
「こっちこっち!」
声に引き寄せられる様に
ラメは村の道をポテポテ
聞こえるのはラメの足音だけ
続く道を歩いていくと
壁の側にたどり着きました
そこには目印のように
壁にばってんの印がありました
壁の上から声がします
「ここから上がっておいでよ!」
見上げるとそこには
暗くて良く見えないけど
一匹の兎が壁のてっぺんに腰掛けて
ラメを見下ろしています
ラメは言いました
「そんな所に腰掛けて危ないよ?」
兎はケラケラ笑いながら
「なーに、こんなもの、よっと」
と、立ち上がると壁の上で
片足で立って見せました
慌てたラメは尻餅をつきます
その兎は、ラメを見下ろして
「君の夢は終わらない。目が覚めても
夢のまた夢。」
空が明るくなり出して
もうちょっとで兎の顔が見える所で
はっと目が覚めると
ラメを太陽の光と優しいお母さんが
迎えていました
それから何日かに一度
同じように声に呼ばれては
壁を超えられずに
夢から目が覚める日が続きました
「夢のまた夢。」
3年の月日がたちました
3年たったラメは大人っぽく
体も大きくなり
村の仕事のお手伝いをするまでに
変わらないのは相変わらず見る夢
ますます大きくなるのは
壁の先への興味でした
鳥が運んでくるあの壁の向こうに
どんな世界が広がるのだろう
誰も知らないその世界
周りは今のままで満足だけど
ラメは知りたくて仕方ないのです
そんな時にまたあの夢を見ました
いつものように、ばってんの印の下
兎は言います
「君の夢は終わらない。夢のまた夢」
ラメは明け始める空のなか
兎に問いかけました
「僕の夢はいつ終わるの?目を覚ましたのに夢なんておかしいや!」
すると消えかかる景色の中で
「本当の夢が叶うまで、君はベッドの中と一緒。夢のまた夢の答えを探せ」
目が覚めたラメの脳裏に
兎の言葉がこだまします
夢のまた夢の答え
それは夢?じゃないの?
僕の夢?兎の言う夢は違う夢?
そして、はっと気づいたのです
ラメの夢
その夜、簡単な荷物をまとめると
小さな窓を一番上まであげて
あの日のように外に出ました
夢の中と同じように
呼ばれた道をポテポテ
これも同じで聞こえるのは足音だけ
そして、辿り着いたのは
ばってん印の壁の下
初めて来たそこには
まさかのばってん印
夢で見た景色と同じです
見上げた壁はまだ少し
高く思えて、もう戻れないかも
そんな気持ちで足が震えます
でも、兎の言葉が背中を押すように
その足を前へと進めます
勢いをつけて、
心に強い翼をつけて、
夢見た壁の向こう側へ
足を揃えて踏み込みジャンプ
壁のてっぺんに手が届きました
指を折り曲げて、足をバタバタ
力一杯体を持ち上げようとするけれど
なかなか体は持ち上がりません
段々と指も痺れて来て
もうだめだと思ったその時
「迎えに来たよ、ラメ」
その手を壁の上から誰かが掴みました
その手はとても暖かく
まるで太陽の光のよう
そしてその手に引っ張られるように
気づくと壁の上に足を引っ掛けて
そしてたどり着いた壁の上
見えた景色に広がる朝日が
とっても綺麗で
なにより終わりがないのにびっくり
ラメを引き上げてくれた手は
もうそこにはなくて
だけどラメにはそれがなんだったか
よく分かっていました
きっと、あの兎だったのだろうって
そしてもう一つ
分かったことがありました
夢のまた夢の答え
それは乗り越えた先に見えた現実
そしてそこから作る
新しい夢なんだと
ぱたん
絵本を閉じた二人の心は
なんだかほっこり
そして、夢の大切さを知りました
白い兎は言いました
「あなたの夢ってなに?」
黒い兎は首をひねってしばらく考え
「んー、なんだろ、あんまり考えた事ないけど、絵描き?詩人?歌い手?おもちゃ屋?んー、でも料理もやってみたいし、あ、アクセサリーとかも、決まらないや」
沢山の夢の話を聞いて白い兎は
くすくす笑いました
それを見て、黒い兎は逆に尋ねました
「きみの夢は何?」
白い兎は言いました
「そんなの決まってるよ。いまのまんま、それで満足」
黒い兎はそんなの夢じゃないと
叶った上に、先まで一緒じゃ
それじゃ夢にならないと
ぶーぶー、ぷんすか
白い兎はそんな黒い兎と
こんな日々を続けられるのが
一番の夢なんだよって
心の中で黒い兎に言ったのでした
その日の夜布団に潜ると
黒い兎は言いました
「横にこんな温かい幸せ、いつまでも続けばいいよね。けどこれは夢より大事な現実だけどね」
白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒
考え方が違っても
思いはいつもかさなりますように
お星に願いを
朝日に願いを
二匹はいつも一緒
今日も二匹の元に一冊の絵本
題名は「ユメミタユメ」
村に住む一匹の兎、名前は「ラメ」
幼いラメが住むその村は
周りを高い壁で覆っていて
その高さと言ったら
大人がジャンプしてようやく手が届く
そんな壁に囲まれた村でした
食べ物や飲み物、洋服はいつも
鳥が届けてくれるので
村の誰も外の世界は知りません
一度、ラメはお母さんに聞きました
「あの壁の向こうには何があるの?」
お母さんはラメの顔を見て
「そんな事は鳥さんに聞いてよ」
と、洗い物をしながら
適当な事を言いました
諦めきれずに、ラメは鳥がきた時に
「ねえ、鳥さん?壁の向こうには何があるの?」
だけど、鳥の鳴き声なんか
到底わかるはずも無く
ラメは諦めるしかありませんでした
そんなある夜
ラメは不思議な夢を見ました
夢の中でラメを呼ぶ声がします
「かーべのむこうになにがある?
みたことないないの?もったいない
かーべのなかになにがある?
いつもとおんなじ?あきあきだ
きみはみたい?みたくない?
ついておいでよ!さあ、すぐに!」
目を覚ますとそこは自分の部屋
夢と思えない位、目はぱっちり
声は窓の外から聞こえます
小さな窓を半分位開けて
そーっとそとへ飛び出すと
さっきの声がまた聞こえます
「こっちこっち!」
声に引き寄せられる様に
ラメは村の道をポテポテ
聞こえるのはラメの足音だけ
続く道を歩いていくと
壁の側にたどり着きました
そこには目印のように
壁にばってんの印がありました
壁の上から声がします
「ここから上がっておいでよ!」
見上げるとそこには
暗くて良く見えないけど
一匹の兎が壁のてっぺんに腰掛けて
ラメを見下ろしています
ラメは言いました
「そんな所に腰掛けて危ないよ?」
兎はケラケラ笑いながら
「なーに、こんなもの、よっと」
と、立ち上がると壁の上で
片足で立って見せました
慌てたラメは尻餅をつきます
その兎は、ラメを見下ろして
「君の夢は終わらない。目が覚めても
夢のまた夢。」
空が明るくなり出して
もうちょっとで兎の顔が見える所で
はっと目が覚めると
ラメを太陽の光と優しいお母さんが
迎えていました
それから何日かに一度
同じように声に呼ばれては
壁を超えられずに
夢から目が覚める日が続きました
「夢のまた夢。」
3年の月日がたちました
3年たったラメは大人っぽく
体も大きくなり
村の仕事のお手伝いをするまでに
変わらないのは相変わらず見る夢
ますます大きくなるのは
壁の先への興味でした
鳥が運んでくるあの壁の向こうに
どんな世界が広がるのだろう
誰も知らないその世界
周りは今のままで満足だけど
ラメは知りたくて仕方ないのです
そんな時にまたあの夢を見ました
いつものように、ばってんの印の下
兎は言います
「君の夢は終わらない。夢のまた夢」
ラメは明け始める空のなか
兎に問いかけました
「僕の夢はいつ終わるの?目を覚ましたのに夢なんておかしいや!」
すると消えかかる景色の中で
「本当の夢が叶うまで、君はベッドの中と一緒。夢のまた夢の答えを探せ」
目が覚めたラメの脳裏に
兎の言葉がこだまします
夢のまた夢の答え
それは夢?じゃないの?
僕の夢?兎の言う夢は違う夢?
そして、はっと気づいたのです
ラメの夢
その夜、簡単な荷物をまとめると
小さな窓を一番上まであげて
あの日のように外に出ました
夢の中と同じように
呼ばれた道をポテポテ
これも同じで聞こえるのは足音だけ
そして、辿り着いたのは
ばってん印の壁の下
初めて来たそこには
まさかのばってん印
夢で見た景色と同じです
見上げた壁はまだ少し
高く思えて、もう戻れないかも
そんな気持ちで足が震えます
でも、兎の言葉が背中を押すように
その足を前へと進めます
勢いをつけて、
心に強い翼をつけて、
夢見た壁の向こう側へ
足を揃えて踏み込みジャンプ
壁のてっぺんに手が届きました
指を折り曲げて、足をバタバタ
力一杯体を持ち上げようとするけれど
なかなか体は持ち上がりません
段々と指も痺れて来て
もうだめだと思ったその時
「迎えに来たよ、ラメ」
その手を壁の上から誰かが掴みました
その手はとても暖かく
まるで太陽の光のよう
そしてその手に引っ張られるように
気づくと壁の上に足を引っ掛けて
そしてたどり着いた壁の上
見えた景色に広がる朝日が
とっても綺麗で
なにより終わりがないのにびっくり
ラメを引き上げてくれた手は
もうそこにはなくて
だけどラメにはそれがなんだったか
よく分かっていました
きっと、あの兎だったのだろうって
そしてもう一つ
分かったことがありました
夢のまた夢の答え
それは乗り越えた先に見えた現実
そしてそこから作る
新しい夢なんだと
ぱたん
絵本を閉じた二人の心は
なんだかほっこり
そして、夢の大切さを知りました
白い兎は言いました
「あなたの夢ってなに?」
黒い兎は首をひねってしばらく考え
「んー、なんだろ、あんまり考えた事ないけど、絵描き?詩人?歌い手?おもちゃ屋?んー、でも料理もやってみたいし、あ、アクセサリーとかも、決まらないや」
沢山の夢の話を聞いて白い兎は
くすくす笑いました
それを見て、黒い兎は逆に尋ねました
「きみの夢は何?」
白い兎は言いました
「そんなの決まってるよ。いまのまんま、それで満足」
黒い兎はそんなの夢じゃないと
叶った上に、先まで一緒じゃ
それじゃ夢にならないと
ぶーぶー、ぷんすか
白い兎はそんな黒い兎と
こんな日々を続けられるのが
一番の夢なんだよって
心の中で黒い兎に言ったのでした
その日の夜布団に潜ると
黒い兎は言いました
「横にこんな温かい幸せ、いつまでも続けばいいよね。けどこれは夢より大事な現実だけどね」
白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒
考え方が違っても
思いはいつもかさなりますように
お星に願いを
朝日に願いを
PR
Post your Comment