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2012

0725
白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒

今日も二匹の元に一冊の絵本

題名は「ママノイロ」

ある村に真っ白な小さな兎が生まれました

生まれたときの目の色が真っ黒で

お母さんはモノクロと名前をつけてあげました


モノクロは名前のせいではないけれど

生まれつき色が全て白黒に見えて

どんなに明るいお花畑も

どんなにおいしそうな料理も

全部が白か黒にしか見えませんでした

お母さんはそんなモノクロをかわいそうに思い

家の中の見えるものに紙で色を書いて

「この花瓶は赤色」

「このにんじんはオレンジ」

と一つ一つ教えてあげました

外に出るときも、見えるものに一つ一つ

あれは何色、これは何色、と教えては

モノクロが色を少しでも知ってもらえるように努力したのです


そんなモノクロはお母さんの優しさに応えようと

いつも家で絵を描きました

といっても、色鉛筆の色が分からないので

いつも描くものは色が違っていて

黄色の象さんや、真っ黒な魚

緑色の空に、紫の湖

でもお母さんはとても優しい笑顔で答えます

「とっても上手、綺麗な絵」


モノクロは知っていました

自分の絵が周りの本当の色とは違うこと


それはある日、描いた絵を友達に見せたときに

周りの皆が大笑いするので聞いたのです

「何がそんなにおかしいの」

友達は彼を馬鹿にするように言いました

「色が全然違うんだもん、モノクロには無理だって」

あたまごなしに否定されたモノクロはとっても悲しくなりました

おうちに帰ると、せっかく描いた絵をびりびりに破いて

布団に潜ってしまいました

真っ暗な布団の中で思いました


世界が今と同じ景色なら

きっと僕は馬鹿にされないのかな

僕の選んだ色が違うから

きっと僕は馬鹿にされるのかな

そんな僕は間違っているのかな

だから世界は僕と違うのかな

悩んでいるうちにモノクロは深い眠りの中へ


朝起きてお母さんに挨拶すると

お母さんが昨日の絵を元に戻して返してくれました

モノクロはいらないと断ろうとしたけれど

お母さんの顔を見たら断れなくて

その絵を大事にしまいました

しばらくモノクロは絵を描くことはしないで

ぼんやり外を眺めていました

空は真っ白なキャンバスで

雲は真っ黒な絵の具を落としたみたい

時々飛ぶ鳥達も真っ黒な羽をばたつかせて

心が苦しくなって、布団の中にもぐりこんで

また黒い世界にこんにちわ


そんなある日、お母さん兎は言いました

「もう絵を描いてくれないの?」

モノクロは言いました

「僕の描く絵は色が違うから、どうせ馬鹿にされちゃうよ」

お母さんはモノクロの目をじっと見て

にこっと笑うと言いました

「モノクロ、私の絵を描いてみてくれない?」


モノクロは嫌だと断ろうとしたけれども

お母さんがあんまり優しく笑ってくれたので

最後に一度だけ、そんな気持ちで描くことにしました

白い画用紙に色鉛筆を用意すると

思い立ったように一本鉛筆を取りました

けれど、その色が何色か気になってなかなか描き出せないでいると


「いいのよ、どんな色でも。モノクロの思うままの私を描いてくれれば」

モノクロは思い切ってつかんだ色鉛筆でお母さんを一生懸命描き出しました

大好きなおっきな耳

いつも優しく見てくれるお月様みたいな目

くるんと上を向いたまつげに

笑うとできるちいさなえくぼ

やさしく包み込んでくれる柔らかな手

どれもこれも大好きなお母さんを思うと

自然と手が動きます


あっという間にできあがった絵にはとっても優しい

モノクロの大好きな、とっても大好きなお母さん


だけども、モノクロは全然喜べませんでした

たとえ、一所懸命描いたって

色が全然違うならそれは違うもの

せっかくの大好きなお母さんも

それは違う生き物と一緒なんだ

もじもじしたモノクロにお母さんは優しく

「出来た絵を見せて」


下を向いて、はいっ、と絵を渡すと

モノクロは悔しくて涙が零れてしまいました

ぐずぐず、うー

それに合わせて向かいから

しくしく、ぽとぽと

お母さんも泣いているようでした


間違えてしまったんだ、色

大事なお母さんまで泣かせてしまって

モノクロはとうとう涙が止まらず

大声で泣き出しそうになりました

その時、優しい手がモノクロを包みました


「嬉しい、こんなに優しい気持ちで描いてくれたなんて」

お母さんは涙を沢山流して笑っていました

「ごめんなさい、でも色が違うんでしょ?お母さん、ごめんなさい」

謝るモノクロにお母さんは言いました

「いいえ、ちゃんと描けてるのよ。だってこの色鉛筆は」

ひっくり返すとそこにはこう書いてありました

「鉛筆12本いり」


そう、全部真っ黒な鉛筆だったのです

お母さんは教えてくれました

見える世界が違うとしても

モノクロの気持ちがこもった絵には

きっと何よりたくさんの色が使われていて

その色はちゃんと伝わるのよ、と

こんなに心に伝わるのだから、その目に見える世界

きっとそれでいいのよ、と


モノクロはそれからまた絵を描き始めて

白と黒の世界で皆に見せました

誰よりカラフルで誰より鮮やかな白黒の世界を


ぱたん


白い兎は絵本をしまうと黒い兎に言いました

「モノクロだからこそ見える色もあるのかもね」

目に見える色だけじゃ分からない

奥の奥の色

白い兎も黒い兎も

二匹はモノクロみたいなものだけど

きっと奥の奥には色がついているのかな

白い兎はそんな風に思いました

そういえば昔、白い兎を黒い兎が描いた時に

真っ先にピンクを使おうとして止めたけれども

あれもそういうことなのかな?って

気になった白い兎は聞いてみたけれども

お話に影響されて

白い画用紙にいたずらに

黄色い夜空を描こうとしている黒い兎を見て

白い兎は聞くのをやめました

きっともっと奥の奥で

誰にも分からない名前の無い色で

今もきっと描いていると信じて


白い兎と黒い兎   

二匹はいつも一緒
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