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2026

0329
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2012

0725
白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒
今日も二匹に一冊の絵本
題名は「ニジノセイザ」

あるところにプラネとアルムという、それはそれは仲のいい兄弟兎がおりました
兄弟といっても二匹は捨て子で
雨の降る夜、ダンボールで隣り合わせになっていたのを
孤児院のおじいさんに拾われたのでした

次々に新しい家族の元に旅立っていく中で
二匹はいつまでも孤児院の兄弟のまま
だからあだ名は「売れ残り」
最初は優しかったおじいさんも段々と邪魔に感じるようになり
いつしか二匹の居場所は部屋の片隅のダンボールの中
パンくずとちょっとのミルク、たまに貰えるご褒美はボロボロ、ぱさぱさのビスケット
洋服は一着しか持っていないから、毎日交換こ
それでも二匹は一緒にいれるだけで幸せでした
 
せまいせまい世界の隅っこみたいなその場所で
二匹はよくこんな話をしました
「ねぇ、お星様には家族がいるのかな?」
答えはいつも一緒

星座が教えてくれる

それから二匹はダンボールにちょっとずつ
星座の絵本を見ながら星を書いていきました

オリオン座やふたご座、山羊座
たくさんの星の家族を作っては
いつかは僕達もこんな家族になるんだと
そう信じていたのです

そしてその日はやってきました

悲しいことにプラネにだけ

プラネは新しいお父さんとお母さんになる兎に
何度も何度もお願いしました
「お願いだからアルムも一緒に連れて行ってください!」
アルムの手をぎゅっとつかんで離さぬまま
その間、アルムは何も言わずじっと下を向いていました

最後は半ば強引に連れて行かれるように
プラネは車に乗せられて新しい家族に貰われて行きました

残されたアルムは残った二つのダンボールをただただ眺めていました
「隣りあわせでここにいて、育って、眠って、遊んで。でも君は星座になって。
僕は、今さら迷子のお星様になった。いっそ、流れ星になって消えちゃおうかな。
君が幸せに暮らせるように願う、そんな一筋の流れ星に。」
おじいさんも少しかわいそうになりましたが、どうにも出来ず
ただどうしても嫌がるので、プラネのダンボールを部屋の片隅に置いておく事にしました

ダンボールの中からひょっこり顔を出したら
今でも隣のダンボールからプラネが現れるんじゃないかと思っては
空っぽのダンボールを覗き込んで、小さく丸くなって泣きました

二匹でいた時より広くなったダンボールのお部屋は
今までより自分の居場所が無くなったみたいで
心をぎゅうぎゅうに押すから狭くなった気すらします

アルムは昔プラネとした小さなおまじないを思い出しました
そういえばこうやって、人差し指をピンと天井に向けて立てて
内緒の言葉を言うんだっけ、アルムは思い出したようにその言葉を呟こうとしました

すると部屋の奥から

「虹の星座」

アルムは飛び上がり、もうがむしゃらにその声の主に抱きつきました
涙と鼻水をこすりつけて、声が枯れてもいいと思う位
壊れるくらい泣き叫んで、しがみ付いてしがみ付いて
流れる涙はまるで幾粒もの流れ星のよう
「プラネ!プラネ!プラネ!プラネ!」
理由も何も聞かない、聞きたくない、そんな気持ちでいっぱいでした
今はただそこにプラネがいてくれる、それだけでいいと

その後プラネは、相手に謝って帰ってきたこと
おじいさんにこっぴどく叱られたこと
迎えに来てくれなかったから歩いて帰ってきたからとっても疲れた事
いろんな話をしました
少しの間だったのに長い旅から帰ってきたみたいに

夜も遅くなり、やがて二匹はうとうと眠くなりました
アルムがダンボールの隅っこで丸くなっていると
プラネはその隙間に入り込むようにやってきました
「狭いよ、プラネ」
いつもしていた事なのに今日はなんだか恥ずかしくて
顔を真っ赤にしてアルムは言いました

プラネはニコっと笑うと
自分のダンボールを掴み上からかぶせました

小さな四角の二匹の世界の中でプラネは話してくれました

こんな風に大きな空を閉じ込めてさ
その中で星と星を線で繋いで星座を作るんだ
汚いダンボールで隣り合わせで捨てられる
僕達みたいな売れ残りの迷子の星が
いつか全部繋がって、大きな星座になるように

人差し指が絡まって
二匹の作ったおまじない
怖がりで寂しがり屋のその星座の名前は

虹の星座
 
その後、プラネとアルムは孤児院で暮らし続けて
おじいさんに頼み、星のシールを散りばめた部屋を作って
孤児の子供達に星座を教えてあげました
それは後に二匹の名前を合わせてこう呼ばれました

プラネ ト アルム
プラネット ア ルーム
プラネタリウム

パタン
 
黒い兎はこのお話の二匹がなんだか自分たちと重なって
なんだか苦しくなりました
お話のように二匹でずっと一緒にいて
一体何を残してあげられるのだろう
一緒に何を作れるのだろう
今までだって何をしてあげられたのだろう

黒い兎は焦る気持ちに押されるように
白い兎の手伝いをしようとしました

一生懸命にやろうとすると空回るのが黒い兎の悪いところで
案の定、切った材料を落としたり
白い兎にぶつかって邪魔してしまったり
あげく、お皿を棚から出そうとしてふらついたら

がっしゃーん

白い兎がかけつけると、そこにはしりもちをついた黒い兎
割れた破片で少し地が滲んでいます

お皿を片付けた白い兎が手当てをしながら
どうして今日はそんなに頑張るのか聞くので
お話を読んでからのことを話すと
白い兎は部屋から大きな箱を持ってきました
「開けてみて」
黒い兎が箱の中を覗くと
今までのプレゼントがいっぱい
誕生日のどんぐりのネックレスに
床一面に書いてくれた白黒の花の絵
思い出の場所で撮った写真に料理の絵
どれもこれも気持ちを込めたものばかり

人差し指が黒い兎の前に出されて
顔を上げると笑顔の白い兎が言うのです

「虹の星座」
どんなに離れ離れになったって、僕達は繋がっている、いけるんだ
小さなおまじないに願いを込めて、あなたに引かれる一筋の線を信じて

白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒


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2012

0725
白い兎と黒い兎 

二匹はいつも一緒

今日も二匹の元に一冊の絵本

題名は「アメニナガシテ」


これは、見栄っ張りな性格のせいで

サーカス団から置いてけぼりにされてしまった

一匹のピエロ兎のお話です


目を覚ましたピエロはひとりぼっちでした

ピエロは足元のいしころを蹴飛ばして舌打ちをしました

「確か、次の村はあっちだったな」

ピエロは置いてけぼりにした皆に文句を言ってやろうと

歩いて向かうことにしたのです


派手なメイクにキラキラの衣装

彼の歩く姿は村には似合わず

とても不思議な光景でした


てくてくといしころを蹴りながら歩いていると

一匹の灰色の兎が声をかけてきました

「やあやあ、ピエロさん、どこへいくんだい?」

何の気なしに聞いた兎にピエロはこう言いました

「地味な灰かぶり、お前に話すことなんて何もない」

目の前のいしころを投げつけると、兎を追い払ってしまいました

ピエロは逃げる兎を尻目に先を急ぎました


いしころを蹴りながら更に歩いていると、今度はカラスが一匹、ピエロに近づいてきました

「やあやあ、ピエロさん、もうじき雨が降りそうだよ?」

優しく教えてあげようとしたカラスを睨みつけて

「真っ黒なお前は俺が羨ましいんだろ?気を惹きたいならもっとまともな嘘をつけ」

またいしころを投げつけて、カラスも追い払ってしまいました

カーカーとカラスは雲の先まで飛んで逃げていきました


けれど、どうでしょう

ごろごろ、ごろろん

雲が段々重たくなって

空が段々暗くなると

ざーざー、ざーざー

からすの言うとおり、雨が降り出してきたのです


このままじゃ衣装もメイクも台無しだ

困ったピエロは急いで元の村に戻って

雨宿りをしようと村の家を訪ねました


とんとん、どんどん

「おーい、雨に濡れて困ってる、雨宿りさせてもらうぞ」

扉を開けた兎はびっくり

そこにいたのは、メイクが落ちかけたせいで

おばけみたいな顔をした

奇妙な格好をした兎の形をした何か

兎は怖がって、扉を閉めてしまいました

それから何度も他の家に頼みに行くものの

どの家も顔を見た瞬間に怖くなって中には入れてくれませんでした

雨の中、ぶるぶる体を震わせて

ピエロは一軒のぼろぼろの家の前にいました


とんとん、とん

「頼む、誰かいないか?寒くて震えが止まらないんだ」

弱音を心の中にしまいこめず、疲れきった声で頼むと

中から一匹の子兎が出てきました

「おにいちゃん変な顔」

子兎はクスクス笑いました

その後ろからもう一匹現れた兎を見て

ピエロは下を向いて顔を隠してしまいました

その兎は、あの時石を投げつけた灰色の兎だったのです


兎は何も言わず、彼を家の中に招き入れました

そして暖かいスープを飲ませてくれました

ピエロは自分のしたことを素直に謝りました

「石を投げつけてすまなかった、本当にごめん」


兎は窓の外を眺めて

降り止まない雨を指差して言いました

「雨に流してしまえばいいんじゃよ、今までのあんたのしたことを全部。」

その優しさにピエロは涙をぼろぼろ流して泣きました

子兎はそれを見てくすくす笑って言いました

「ピエロさん、おうちの中なのにお外にいるみたい」


次の日の朝になり、外はすっかり良い天気

ピエロは灰色の兎に言いました

「お前の洋服とこの洋服を交換しよう、これを売ればいいお金になる」

兎は首を横に振り、断ろうとしましたが

子兎の喜ぶ顔を見て、ありがたく受け取ることにしました

灰色の兎はこれからどうするのだ?と尋ねました


ピエロはぺこっとおじぎをして

「俺のサーカスの幕を開けて来るよ」


ピエロは思いました

派手なメイクにキラキラの化粧

それに、着飾りすぎた心を

きっと雨は流してくれた

あの日、あの時、あの夜に

笑ってくれたから、俺もきっと笑えた

だから、今度は俺が笑わってあげるんだ

笑わせる為じゃ無くて、一緒に笑う為に


それからピエロはステージに戻り

沢山の兎に笑顔を届けるのです

優しい雨を降らして悲しみを流すような笑顔で

灰色の洋服に素顔のままで


ぱたん


絵本にはぼろぼろの洋服で笑うピエロの絵が描かれていました

黒い兎はおもむろに絵の具を取り出すとステージの周りにたくさんの水玉を描き出しました

白い兎が何をしているのか尋ねると

「ピエロに降る雨、降らせる雨がカラフルで綺麗な雨になるように描き足してるの」

なるほど、と白い兎はただただその絵が出来上がるのを眺めていました

やがてステージはカラフルな水玉で溢れ、光に照らされたピエロもなんだか喜んでいるように見えました


「最後に、よっと」

黒い兎はピエロの手のあたりに飴玉の絵を描きました

「これはご褒美、雨だけに?なんてね」


白い兎はくすくすっと笑うと

黒い兎の口の中に飴玉を一個放り込みました

「じゃあこれは私からのご褒美」

白い兎も口の中に飴玉を一個

二匹でにこにこ

ピエロのお話しみたいに笑い合いました


白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒

*+:*+:*+:*+:*+:*+:*+:*+:*+:*+:*+:*+:*+:*+:*+:*+:*

よんでくれて有難う☆
他の童話も読んでみませんか?

白い兎と黒い兎の絵本




















2012

0725
白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒
今日も二匹のもとに一冊の絵本
題名は「ココロノアジ」

ある村のはずれに、一軒のレストランがありました
小さな小さなレストラン
家の前には看板がぽつん
不思議なことにお店の名前もメニューも
そこには何も書かれていません
なので村の兎の中には、そこがレストランであることすら
知らない兎もいました

そんな村に一匹の王様兎がやってきました
王様は長い髭をくるくる指でいじくりながら、村の兎に言いました
「おい、お腹が空いた。何か作ってもってこい」
言われた兎は大慌て
それもそのはず、王様はとても料理にうるさくて
その上好き嫌いがとっても激しいのです
嫌いなものや、美味しくないものを食べでもしたらきっと
怒って何をするか分からない

困った兎は村の皆を呼び集めて相談しました
そして皆でその日お祭りをして
考え付く料理と雰囲気を味わってもらって満足してもらおうと
話し合いの結果決まりました
小さな兎達は折り紙でわっかを作って飾りを作って
大人たちは得意な料理を一生懸命作って
なんとか王様の為に広場に会場を作りました

兎が王様を呼びに行くと
待ちくたびれた様子で感謝もせず、王様はふんぞりかえるくらい
胸をそり、ふてぶてしくやってきました
広場の小さな兎達が王様に元気にあいさつをします
「おうさま、いらっしゃいませ!」
王様はそんな子供兎達にこう言いました
「うるさい!キンキンと大きな声をだすな」
子供たちは泣き出して王様の元から逃げてしまいました

機嫌をわるくした王様は椅子に、どしっと腰を下ろすと
目の前の料理を睨み付けました
大人たちが精一杯用意した料理で
種類だけでなく材料もとっておきのものなのに
王様はそれに口をつけることもなくこう言いました
「こんなもの食えるか、私を誰だと思ってる」
大人たちはショックのあまり声も出せず、たた唖然

王様が言うには
材料が古い、嫌いなものが入ってるように見える、味が悪そう
どれも確かめもせず、思っただけなのにスプーンすら持とうとしません

王様はさらにへそを曲げてしまい
村の兎達はとうとう困り果ててしまいました
そんな時、奥の一軒の家から煙がもくもくと昇っているのを見つけました
王様は気になり、兎達にあれは何かと聞きました
兎達が、小さなレストランの事を話すと
王様は「よーし、ならば行ってみよう」と椅子から立ち上がりました
兎達はもう、止めることもできず、ただただその後ろ姿と
レストランで何も起きないことを願いました

小さなレストランのドアの前に立つと
中から一匹の真っ黒な兎が現れました
右目は真っ赤、反対の目は真っ青
小奇麗な風貌をした兎でした
「お待ちしておりました、王様にしかご用意できない料理をご用意いたしました」

王様は自分だけにと聞いて上機嫌で中に入り椅子に座りました
まずは手を拭いてください、とだされたタオルを手に取ると料理を待ちました

兎はしばらくして王様の元に料理を運んできました
どれも今までにあまり見たことのない料理が多く、王様はよだれを飲み込みました
早速目の前のスープを口に運びました
すると、どうしてでしょう
額から、体から、ぼとぼとと汗が止まりません
でも美味しくて手を止めることもできず
王様は汗をだらだらと垂らしながら無我夢中で食べ続けました

次のお皿にはおいしそうなサラダがありました
活き活きと新鮮な野菜達を口に運ぶと
これまたどうしてでしょう
王様のつりあがった目がうるうる
やがて溢れんばかりの涙が流れて止まらなくなりました
王様は目を真っ赤にさせながらこれも無我夢中で食べました

最後のお皿にはとてもよく煮込まれたお肉がありました
王様はもう、スプーンもフォークも投げ出して
そのお肉にかぶりつきました
すると。どうでしょう
王様の体は震えがとまらずぶるぶる
体は冷たくなり、心は煮えたぎるように熱くなり
まるで兎の目のように真っ赤で真っ青な気分です

王様は震える唇で兎に聞きました
「これは一体どういうことだ、どの料理もおかしなことばかり」

兎は王様の目をその色違いの目で見つめると言いました
「あなたが食べたのはこの村の兎の気持ちです。
あなたの為に一生懸命汗さえ忘れるほどがんばった気持ち。
あなたの為に挨拶したのに怒られた子供達の気持ち。
あなたの為に作った料理を粗末にされた大人たちの気持ち。」

震える王様に近づき、最後に一言
「お味はいかがでしたか?」
その目は暗く、とても暗い真っ黒な瞳に変っていたそうです

後悔した王様は、その場で崩れるように膝をつき兎に謝りました
しかし、やってしまったことにどうしたらいいかも分からずうなだれていると
兎がお皿の上に料理を持ってやってきました
お皿の上には大きなデザート

王様は聞きました
「もう、お腹いっぱいだ。これにも何か入っているのか?」

兎はにっこり笑い窓の外を指差しました

窓の外には村の兎達が楽しそうに料理を食べています
「このデザートはあなたの気持ち。
この村の兎達はとても親切で、強く負けない心を持っています。
今だって、王様が食べなかったのならと、気持ちを変えて、皆で一日を楽しもうとしている。
あなたが本当に反省したのなら、しっかり謝ってこのデザートをあげてきてください。
お味は私が保証します。」

王様は心から感謝して
そのデザートを手に取ると、ドアを開け、村の兎の元に駆け寄りました

大事な気持ちを混ぜ込んだ、感謝の気持ちのこもったデザートを持って
 
ぱたん
 
黒い兎は本を閉じると棚にしまいに行きました
白い兎はキッチンに向かい料理の準備です
夕食作りを始める後ろで帰ってきた黒い兎が何かを持ってきました

白い兎が料理に集中している間、黒い兎はもくもくと何かをしています
やがて、白い兎が料理を作り終えてお皿を持って黒い兎のところへやってくると
顔中絵の具まみれの黒い兎がいてびっくり
白い兎は何をしていたの?と聞きました

すると黒い兎はにっこり笑って一枚の絵を白い兎にあげました
そこにはとてもおいしそうなハンバーグとサラダ、それにスープの絵が

「すっごい上手に描けたね、でもどうして?」
白い兎が質問すると黒い兎は答えました
「料理は食べたらなくなっちゃうから。
僕が例えばいなくなっても、気持ちがちゃんと伝わるように。
大好きな料理と気持ちを絵に閉じ込めたんだ。」
そして手渡す時に一言
「めしあがれ」
白い兎は心まで暖かくなる黒い兎の心の料理にお腹いっぱいになりました

白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒

2012

0725
白い兎と黒い兎。

二匹はいつも一緒。

今日も、二匹の元に一冊の絵本。

絵本の題名は「イチブンノゼロ」


誰も人より多くあっちゃいけない。

誰も人より少なくてもいけない。

だから皆一人分。
そんな村の二匹の兎。


男の子兎は心さえ一人分。
だから二つはちょっと入れない。
困っても支えないし
支えられようともしない。
それがルールだから。

一方、女の子兎は心さえ皆の為。
時折なくし物をして困ってる
仲間を見たら、見つけたふりをして
自分のを差し出してあげました。
皆がルールを破らないように。

男の子兎はある日
なくし物をしました。
けれど、案の定誰にも頼らず
考えてばかり。

それに気づいた女の子兎は
なくし物をまた自分の分から
差し出して見つけたふりをして
渡してあげました

初めての優しさに触れて
男の子兎は女の子兎に
恋をしました。

何かできないか考えては
下手くそなりに
女の子兎と話をしたり
出かけに連れてったり

だけど、ある日
女の子兎が物をあげすぎて
皆より少ないことが
ばれてしまいました

ルールを破ったら
村をでなくてはいけません

村を出なくてはならなくなったのを知り
村の皆は女の子兎の家に押し入り
足りないものを奪って行きました

おかげで、女の子兎の家は
すっからかん

そこにはただ一匹
傷だらけになって
今にも死にそうな
女の子兎がいるだけ

男の子兎は言いました
「僕が全部あげる。」

女の子兎は言いました
「だめだよ、0になっちゃうから」

すると男の子兎は
「なら僕らで
半分ずっこしよう
それならばれないよ
大丈夫。」

涙を浮かべ笑顔で女の子兎は
「1を0でわっちゃだめ。
答えは0だもの。」

そう言うと最後
女の子兎は一枚の紙を手渡して
そのまま眠るように
死んでしまいました

その紙には、
「大好き、気持ちを渡せて良かった。

1×0=0 1÷0=0
だから一緒には
いられない。

でも

1+0=1 1-0=1
思いは受け取っても
あなたは1。
私が居なくなっても
あなたは1。
0で良かった。」

男の子兎はその紙と一緒に
彼女を埋めてあげました

0になった彼女の
死んだ場所からいつしか
1つの花が生まれるように」

彼女はちゃんと
一つの陽だまりの中にいた事を
証明する為に




絵本を読み終えた二匹は
なんだか悲しくなりました

黒い兎は言いました
「0なんて事は無かったのにね。
気持ちが合わさったら
結局2だと思うし。」

白い兎は言いました
「んーん。
気持ちはどんな事があっても
結局は1なんだと思うよ。」

白い兎が気づいた事

気持ちは一つに重ならない事
誰かの為にしようとしても
結局は自分の為になっちゃう
本当は自分が笑いたいだけ
その為に相手が笑っている
その事が大事なだけ

本当の気持ちってなんだろう

好きって
こんなに独りよがりなものなの?

「本当の優しさってなんだろう。
優しくなりたい。
でもなり方分からなくなっちゃった。どうしよう。」

白い兎は頭がどうかしそうで
必死に抱きついて
黒い兎にしがみついて

黒い兎は言いました

「きっと僕だけじゃダメな事。
君との間で成り立つもの。
優しさなんて形はないし、でも。」

「きっと、知らないうちに。
もう、僕と君とで作ったよ。」

二匹の立つその場所に
木漏れ日

まるで二匹で
一つの陽だまりの中に
そう、いるようでした

その後、
黒い兎はいつもの様に
頭を撫でて

「考えすぎ」
と笑いました

笑ってくれたおかげで
白い兎も笑えました

白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒

聞こえない様に
白い兎がひとりごと

「ありがとう。大好き」

2012

0725
白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒

今日も二匹の元に一冊の絵本

題名は「ママノイロ」

ある村に真っ白な小さな兎が生まれました

生まれたときの目の色が真っ黒で

お母さんはモノクロと名前をつけてあげました


モノクロは名前のせいではないけれど

生まれつき色が全て白黒に見えて

どんなに明るいお花畑も

どんなにおいしそうな料理も

全部が白か黒にしか見えませんでした

お母さんはそんなモノクロをかわいそうに思い

家の中の見えるものに紙で色を書いて

「この花瓶は赤色」

「このにんじんはオレンジ」

と一つ一つ教えてあげました

外に出るときも、見えるものに一つ一つ

あれは何色、これは何色、と教えては

モノクロが色を少しでも知ってもらえるように努力したのです


そんなモノクロはお母さんの優しさに応えようと

いつも家で絵を描きました

といっても、色鉛筆の色が分からないので

いつも描くものは色が違っていて

黄色の象さんや、真っ黒な魚

緑色の空に、紫の湖

でもお母さんはとても優しい笑顔で答えます

「とっても上手、綺麗な絵」


モノクロは知っていました

自分の絵が周りの本当の色とは違うこと


それはある日、描いた絵を友達に見せたときに

周りの皆が大笑いするので聞いたのです

「何がそんなにおかしいの」

友達は彼を馬鹿にするように言いました

「色が全然違うんだもん、モノクロには無理だって」

あたまごなしに否定されたモノクロはとっても悲しくなりました

おうちに帰ると、せっかく描いた絵をびりびりに破いて

布団に潜ってしまいました

真っ暗な布団の中で思いました


世界が今と同じ景色なら

きっと僕は馬鹿にされないのかな

僕の選んだ色が違うから

きっと僕は馬鹿にされるのかな

そんな僕は間違っているのかな

だから世界は僕と違うのかな

悩んでいるうちにモノクロは深い眠りの中へ


朝起きてお母さんに挨拶すると

お母さんが昨日の絵を元に戻して返してくれました

モノクロはいらないと断ろうとしたけれど

お母さんの顔を見たら断れなくて

その絵を大事にしまいました

しばらくモノクロは絵を描くことはしないで

ぼんやり外を眺めていました

空は真っ白なキャンバスで

雲は真っ黒な絵の具を落としたみたい

時々飛ぶ鳥達も真っ黒な羽をばたつかせて

心が苦しくなって、布団の中にもぐりこんで

また黒い世界にこんにちわ


そんなある日、お母さん兎は言いました

「もう絵を描いてくれないの?」

モノクロは言いました

「僕の描く絵は色が違うから、どうせ馬鹿にされちゃうよ」

お母さんはモノクロの目をじっと見て

にこっと笑うと言いました

「モノクロ、私の絵を描いてみてくれない?」


モノクロは嫌だと断ろうとしたけれども

お母さんがあんまり優しく笑ってくれたので

最後に一度だけ、そんな気持ちで描くことにしました

白い画用紙に色鉛筆を用意すると

思い立ったように一本鉛筆を取りました

けれど、その色が何色か気になってなかなか描き出せないでいると


「いいのよ、どんな色でも。モノクロの思うままの私を描いてくれれば」

モノクロは思い切ってつかんだ色鉛筆でお母さんを一生懸命描き出しました

大好きなおっきな耳

いつも優しく見てくれるお月様みたいな目

くるんと上を向いたまつげに

笑うとできるちいさなえくぼ

やさしく包み込んでくれる柔らかな手

どれもこれも大好きなお母さんを思うと

自然と手が動きます


あっという間にできあがった絵にはとっても優しい

モノクロの大好きな、とっても大好きなお母さん


だけども、モノクロは全然喜べませんでした

たとえ、一所懸命描いたって

色が全然違うならそれは違うもの

せっかくの大好きなお母さんも

それは違う生き物と一緒なんだ

もじもじしたモノクロにお母さんは優しく

「出来た絵を見せて」


下を向いて、はいっ、と絵を渡すと

モノクロは悔しくて涙が零れてしまいました

ぐずぐず、うー

それに合わせて向かいから

しくしく、ぽとぽと

お母さんも泣いているようでした


間違えてしまったんだ、色

大事なお母さんまで泣かせてしまって

モノクロはとうとう涙が止まらず

大声で泣き出しそうになりました

その時、優しい手がモノクロを包みました


「嬉しい、こんなに優しい気持ちで描いてくれたなんて」

お母さんは涙を沢山流して笑っていました

「ごめんなさい、でも色が違うんでしょ?お母さん、ごめんなさい」

謝るモノクロにお母さんは言いました

「いいえ、ちゃんと描けてるのよ。だってこの色鉛筆は」

ひっくり返すとそこにはこう書いてありました

「鉛筆12本いり」


そう、全部真っ黒な鉛筆だったのです

お母さんは教えてくれました

見える世界が違うとしても

モノクロの気持ちがこもった絵には

きっと何よりたくさんの色が使われていて

その色はちゃんと伝わるのよ、と

こんなに心に伝わるのだから、その目に見える世界

きっとそれでいいのよ、と


モノクロはそれからまた絵を描き始めて

白と黒の世界で皆に見せました

誰よりカラフルで誰より鮮やかな白黒の世界を


ぱたん


白い兎は絵本をしまうと黒い兎に言いました

「モノクロだからこそ見える色もあるのかもね」

目に見える色だけじゃ分からない

奥の奥の色

白い兎も黒い兎も

二匹はモノクロみたいなものだけど

きっと奥の奥には色がついているのかな

白い兎はそんな風に思いました

そういえば昔、白い兎を黒い兎が描いた時に

真っ先にピンクを使おうとして止めたけれども

あれもそういうことなのかな?って

気になった白い兎は聞いてみたけれども

お話に影響されて

白い画用紙にいたずらに

黄色い夜空を描こうとしている黒い兎を見て

白い兎は聞くのをやめました

きっともっと奥の奥で

誰にも分からない名前の無い色で

今もきっと描いていると信じて


白い兎と黒い兎   

二匹はいつも一緒
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