2012
白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒
今日も二匹のもとに一冊の絵本
題名は「ココロノアジ」
ある村のはずれに、一軒のレストランがありました
小さな小さなレストラン
家の前には看板がぽつん
不思議なことにお店の名前もメニューも
そこには何も書かれていません
なので村の兎の中には、そこがレストランであることすら
知らない兎もいました
そんな村に一匹の王様兎がやってきました
王様は長い髭をくるくる指でいじくりながら、村の兎に言いました
「おい、お腹が空いた。何か作ってもってこい」
言われた兎は大慌て
それもそのはず、王様はとても料理にうるさくて
その上好き嫌いがとっても激しいのです
嫌いなものや、美味しくないものを食べでもしたらきっと
怒って何をするか分からない
困った兎は村の皆を呼び集めて相談しました
そして皆でその日お祭りをして
考え付く料理と雰囲気を味わってもらって満足してもらおうと
話し合いの結果決まりました
小さな兎達は折り紙でわっかを作って飾りを作って
大人たちは得意な料理を一生懸命作って
なんとか王様の為に広場に会場を作りました
兎が王様を呼びに行くと
待ちくたびれた様子で感謝もせず、王様はふんぞりかえるくらい
胸をそり、ふてぶてしくやってきました
広場の小さな兎達が王様に元気にあいさつをします
「おうさま、いらっしゃいませ!」
王様はそんな子供兎達にこう言いました
「うるさい!キンキンと大きな声をだすな」
子供たちは泣き出して王様の元から逃げてしまいました
機嫌をわるくした王様は椅子に、どしっと腰を下ろすと
目の前の料理を睨み付けました
大人たちが精一杯用意した料理で
種類だけでなく材料もとっておきのものなのに
王様はそれに口をつけることもなくこう言いました
「こんなもの食えるか、私を誰だと思ってる」
大人たちはショックのあまり声も出せず、たた唖然
王様が言うには
材料が古い、嫌いなものが入ってるように見える、味が悪そう
どれも確かめもせず、思っただけなのにスプーンすら持とうとしません
王様はさらにへそを曲げてしまい
村の兎達はとうとう困り果ててしまいました
そんな時、奥の一軒の家から煙がもくもくと昇っているのを見つけました
王様は気になり、兎達にあれは何かと聞きました
兎達が、小さなレストランの事を話すと
王様は「よーし、ならば行ってみよう」と椅子から立ち上がりました
兎達はもう、止めることもできず、ただただその後ろ姿と
レストランで何も起きないことを願いました
小さなレストランのドアの前に立つと
中から一匹の真っ黒な兎が現れました
右目は真っ赤、反対の目は真っ青
小奇麗な風貌をした兎でした
「お待ちしておりました、王様にしかご用意できない料理をご用意いたしました」
王様は自分だけにと聞いて上機嫌で中に入り椅子に座りました
まずは手を拭いてください、とだされたタオルを手に取ると料理を待ちました
兎はしばらくして王様の元に料理を運んできました
どれも今までにあまり見たことのない料理が多く、王様はよだれを飲み込みました
早速目の前のスープを口に運びました
すると、どうしてでしょう
額から、体から、ぼとぼとと汗が止まりません
でも美味しくて手を止めることもできず
王様は汗をだらだらと垂らしながら無我夢中で食べ続けました
次のお皿にはおいしそうなサラダがありました
活き活きと新鮮な野菜達を口に運ぶと
これまたどうしてでしょう
王様のつりあがった目がうるうる
やがて溢れんばかりの涙が流れて止まらなくなりました
王様は目を真っ赤にさせながらこれも無我夢中で食べました
最後のお皿にはとてもよく煮込まれたお肉がありました
王様はもう、スプーンもフォークも投げ出して
そのお肉にかぶりつきました
すると。どうでしょう
王様の体は震えがとまらずぶるぶる
体は冷たくなり、心は煮えたぎるように熱くなり
まるで兎の目のように真っ赤で真っ青な気分です
王様は震える唇で兎に聞きました
「これは一体どういうことだ、どの料理もおかしなことばかり」
兎は王様の目をその色違いの目で見つめると言いました
「あなたが食べたのはこの村の兎の気持ちです。
あなたの為に一生懸命汗さえ忘れるほどがんばった気持ち。
あなたの為に挨拶したのに怒られた子供達の気持ち。
あなたの為に作った料理を粗末にされた大人たちの気持ち。」
震える王様に近づき、最後に一言
「お味はいかがでしたか?」
その目は暗く、とても暗い真っ黒な瞳に変っていたそうです
後悔した王様は、その場で崩れるように膝をつき兎に謝りました
しかし、やってしまったことにどうしたらいいかも分からずうなだれていると
兎がお皿の上に料理を持ってやってきました
お皿の上には大きなデザート
王様は聞きました
「もう、お腹いっぱいだ。これにも何か入っているのか?」
兎はにっこり笑い窓の外を指差しました
窓の外には村の兎達が楽しそうに料理を食べています
「このデザートはあなたの気持ち。
この村の兎達はとても親切で、強く負けない心を持っています。
今だって、王様が食べなかったのならと、気持ちを変えて、皆で一日を楽しもうとしている。
あなたが本当に反省したのなら、しっかり謝ってこのデザートをあげてきてください。
お味は私が保証します。」
王様は心から感謝して
そのデザートを手に取ると、ドアを開け、村の兎の元に駆け寄りました
大事な気持ちを混ぜ込んだ、感謝の気持ちのこもったデザートを持って
ぱたん
黒い兎は本を閉じると棚にしまいに行きました
白い兎はキッチンに向かい料理の準備です
夕食作りを始める後ろで帰ってきた黒い兎が何かを持ってきました
白い兎が料理に集中している間、黒い兎はもくもくと何かをしています
やがて、白い兎が料理を作り終えてお皿を持って黒い兎のところへやってくると
顔中絵の具まみれの黒い兎がいてびっくり
白い兎は何をしていたの?と聞きました
すると黒い兎はにっこり笑って一枚の絵を白い兎にあげました
そこにはとてもおいしそうなハンバーグとサラダ、それにスープの絵が
「すっごい上手に描けたね、でもどうして?」
白い兎が質問すると黒い兎は答えました
「料理は食べたらなくなっちゃうから。
僕が例えばいなくなっても、気持ちがちゃんと伝わるように。
大好きな料理と気持ちを絵に閉じ込めたんだ。」
そして手渡す時に一言
「めしあがれ」
白い兎は心まで暖かくなる黒い兎の心の料理にお腹いっぱいになりました
白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒
二匹はいつも一緒
今日も二匹のもとに一冊の絵本
題名は「ココロノアジ」
ある村のはずれに、一軒のレストランがありました
小さな小さなレストラン
家の前には看板がぽつん
不思議なことにお店の名前もメニューも
そこには何も書かれていません
なので村の兎の中には、そこがレストランであることすら
知らない兎もいました
そんな村に一匹の王様兎がやってきました
王様は長い髭をくるくる指でいじくりながら、村の兎に言いました
「おい、お腹が空いた。何か作ってもってこい」
言われた兎は大慌て
それもそのはず、王様はとても料理にうるさくて
その上好き嫌いがとっても激しいのです
嫌いなものや、美味しくないものを食べでもしたらきっと
怒って何をするか分からない
困った兎は村の皆を呼び集めて相談しました
そして皆でその日お祭りをして
考え付く料理と雰囲気を味わってもらって満足してもらおうと
話し合いの結果決まりました
小さな兎達は折り紙でわっかを作って飾りを作って
大人たちは得意な料理を一生懸命作って
なんとか王様の為に広場に会場を作りました
兎が王様を呼びに行くと
待ちくたびれた様子で感謝もせず、王様はふんぞりかえるくらい
胸をそり、ふてぶてしくやってきました
広場の小さな兎達が王様に元気にあいさつをします
「おうさま、いらっしゃいませ!」
王様はそんな子供兎達にこう言いました
「うるさい!キンキンと大きな声をだすな」
子供たちは泣き出して王様の元から逃げてしまいました
機嫌をわるくした王様は椅子に、どしっと腰を下ろすと
目の前の料理を睨み付けました
大人たちが精一杯用意した料理で
種類だけでなく材料もとっておきのものなのに
王様はそれに口をつけることもなくこう言いました
「こんなもの食えるか、私を誰だと思ってる」
大人たちはショックのあまり声も出せず、たた唖然
王様が言うには
材料が古い、嫌いなものが入ってるように見える、味が悪そう
どれも確かめもせず、思っただけなのにスプーンすら持とうとしません
王様はさらにへそを曲げてしまい
村の兎達はとうとう困り果ててしまいました
そんな時、奥の一軒の家から煙がもくもくと昇っているのを見つけました
王様は気になり、兎達にあれは何かと聞きました
兎達が、小さなレストランの事を話すと
王様は「よーし、ならば行ってみよう」と椅子から立ち上がりました
兎達はもう、止めることもできず、ただただその後ろ姿と
レストランで何も起きないことを願いました
小さなレストランのドアの前に立つと
中から一匹の真っ黒な兎が現れました
右目は真っ赤、反対の目は真っ青
小奇麗な風貌をした兎でした
「お待ちしておりました、王様にしかご用意できない料理をご用意いたしました」
王様は自分だけにと聞いて上機嫌で中に入り椅子に座りました
まずは手を拭いてください、とだされたタオルを手に取ると料理を待ちました
兎はしばらくして王様の元に料理を運んできました
どれも今までにあまり見たことのない料理が多く、王様はよだれを飲み込みました
早速目の前のスープを口に運びました
すると、どうしてでしょう
額から、体から、ぼとぼとと汗が止まりません
でも美味しくて手を止めることもできず
王様は汗をだらだらと垂らしながら無我夢中で食べ続けました
次のお皿にはおいしそうなサラダがありました
活き活きと新鮮な野菜達を口に運ぶと
これまたどうしてでしょう
王様のつりあがった目がうるうる
やがて溢れんばかりの涙が流れて止まらなくなりました
王様は目を真っ赤にさせながらこれも無我夢中で食べました
最後のお皿にはとてもよく煮込まれたお肉がありました
王様はもう、スプーンもフォークも投げ出して
そのお肉にかぶりつきました
すると。どうでしょう
王様の体は震えがとまらずぶるぶる
体は冷たくなり、心は煮えたぎるように熱くなり
まるで兎の目のように真っ赤で真っ青な気分です
王様は震える唇で兎に聞きました
「これは一体どういうことだ、どの料理もおかしなことばかり」
兎は王様の目をその色違いの目で見つめると言いました
「あなたが食べたのはこの村の兎の気持ちです。
あなたの為に一生懸命汗さえ忘れるほどがんばった気持ち。
あなたの為に挨拶したのに怒られた子供達の気持ち。
あなたの為に作った料理を粗末にされた大人たちの気持ち。」
震える王様に近づき、最後に一言
「お味はいかがでしたか?」
その目は暗く、とても暗い真っ黒な瞳に変っていたそうです
後悔した王様は、その場で崩れるように膝をつき兎に謝りました
しかし、やってしまったことにどうしたらいいかも分からずうなだれていると
兎がお皿の上に料理を持ってやってきました
お皿の上には大きなデザート
王様は聞きました
「もう、お腹いっぱいだ。これにも何か入っているのか?」
兎はにっこり笑い窓の外を指差しました
窓の外には村の兎達が楽しそうに料理を食べています
「このデザートはあなたの気持ち。
この村の兎達はとても親切で、強く負けない心を持っています。
今だって、王様が食べなかったのならと、気持ちを変えて、皆で一日を楽しもうとしている。
あなたが本当に反省したのなら、しっかり謝ってこのデザートをあげてきてください。
お味は私が保証します。」
王様は心から感謝して
そのデザートを手に取ると、ドアを開け、村の兎の元に駆け寄りました
大事な気持ちを混ぜ込んだ、感謝の気持ちのこもったデザートを持って
ぱたん
黒い兎は本を閉じると棚にしまいに行きました
白い兎はキッチンに向かい料理の準備です
夕食作りを始める後ろで帰ってきた黒い兎が何かを持ってきました
白い兎が料理に集中している間、黒い兎はもくもくと何かをしています
やがて、白い兎が料理を作り終えてお皿を持って黒い兎のところへやってくると
顔中絵の具まみれの黒い兎がいてびっくり
白い兎は何をしていたの?と聞きました
すると黒い兎はにっこり笑って一枚の絵を白い兎にあげました
そこにはとてもおいしそうなハンバーグとサラダ、それにスープの絵が
「すっごい上手に描けたね、でもどうして?」
白い兎が質問すると黒い兎は答えました
「料理は食べたらなくなっちゃうから。
僕が例えばいなくなっても、気持ちがちゃんと伝わるように。
大好きな料理と気持ちを絵に閉じ込めたんだ。」
そして手渡す時に一言
「めしあがれ」
白い兎は心まで暖かくなる黒い兎の心の料理にお腹いっぱいになりました
白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒
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