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0329
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2012

0725
白い兎と黒い兎


二匹はいつも一緒


今日も二匹の元に一冊の絵本
題名は「オヨグサクラ」
それはある海の世界でのお話
一匹のお魚がこんな話をしたのが始まりでした
「なぁ、知ってるか?地上ではサクラって花が咲くと皆大喜びで、その花の下で宴をするらしい」
すると、其れを聞いた別の魚が近寄ってきて
「そのサクラってのはそんなにすごいものなのかね。見てみたいなー」
と、海の上を見上げて呟きました

なんでも、トビウオが一度だけその花を見たことあるとか
その花びらは風に乗って空高く舞い上がるとか
噂が噂を呼んで
いつのまにか、サクラは願いを叶える幸せの花となりました

けれどどんなに頑張っても遠くの山に咲くサクラの花びらは
海に届くわけもなく、何年もの間、その姿を見たものはいませんでした

そんなある年のことでした
魚達がいつもの様に青く透き通った海の中を泳いでいると

びゅーん びゅーびゅー
強い風と共に波が
ざっぶーん ざざー
それはとても突然のことでした
慌てる魚達をあっちこっちと連れまわすように
海の中はかき回されて
必死にイソギンチャクの中に隠れるものもいれば
砂の中にもぐりこむものもいたりと
それはもう大変な騒ぎでした

いつもはどっしりと落ち着きのあるマグロ達や
群をなして行動するアジ達もチリジリになりながら
なんとかその日を乗り越えました

昨日までの嵐が嘘のように静かな朝
隠れていた魚達がその姿を現し始めました
一匹の魚がイソギンチャクから顔を出すと

ブクブク すー コツン

頭に何か堅いものがぶつかり
頭の上にお星様が一つ二つクルクル
どうやら昨日の嵐で飛ばされてきた折れた枝のようです

それはもう強い風でしたから
風に飛ばされて色々な物が飛んできていました


だからでしょうか
小魚より大きな葉っぱを新しい寝床に考えたり
大分流されてきた別の場所を泳ぐ魚に挨拶をしたり

もちろんいなくなってしまった家族を探すものや
たくさんの怪我を負った魚もいましたが

皆過ぎ去った嵐に一安心
そして新しい出会いや気持ちで立ち直ろうと努力したのです

そんな中ある一匹の魚があるものを見つけ叫びました
「おい!あそこをみてくれよ、なんだか変だぞ」

その方向に目をやると海がまるで照れているみたいに
薄い桃色に柔らかく光っていました

舞い上がった砂のかけらがラメのように太陽の光で色づいてキラキラ
その中を泳ぐようにヒラヒラと舞うのはまぎれもなくサクラの花びら
どうやら昨日の嵐で飛ばされた花びらが
強い風に連れられて海に運ばれてきたのでしょう


とても綺麗なその光景は傷ついた魚達に元気を与え
これからの新しい出発の背中を強く押してくれました

魚達は感謝をして、全ての花びら落ちきるまで
ささやかではあるけれども、もてる限りのお祝いの宴をしました

新しい家族を作るものや少しの食事をわけあうもの
皆を笑わせようと踊りを踊るものや歌を歌うもの
再開に喜びあい、抱き合うものやキスするもの

そして最後の一枚がヒラヒラと沈む中
魚達はそっと目を閉じ願いを込めました

「私たちの新しいスタートに大きな幸せを」

薄目を開けた一匹の目には
ヒラヒラと堕ちる花びらが一瞬ペコっと
感謝のお辞儀したように見えたそうです

ぱたん


「サクラって本当に新しい出発って感じだもんね」
黒い兎はふむふむと頷きながら言いました

窓の外ではお母さんに手を引かれて
小さな兎がポテポテ歩いています
自分の子供の頃にもあんな風にしていたっけ、と
昔を思い出してクスクス笑っていると

「新しいことか、私も何か始めてみようかな」
思い立ったように白い兎が何かを始めました

黒い兎は何をしているのか気になったので
後ろからこっそり覗こうとすると
「みちゃだめ!これは私が見つけた新しいことなんだから」
と白い兎が両手で黒い兎の目を隠しました

どうしても何をしてるか見せてくれない白い兎に
黒い兎はふてくされていると

「じゃーん、おまたせ。」
頬をぷくーっと膨らませた黒い兎が振り向くと
ランチボックスを片手に微笑む白い兎がいました


そうして黒い兎が手を引かれたどり着いたのは
村で一番綺麗なサクラの木の下
まだ状況の分からない黒い兎がむすっとしていると

「はい、これが私の新しいこと」
目の前に出されたのはサクラの葉で包んだおもち

「新しく桜もち、挑戦してみたんだけど。」
黒い兎はこれくらいの事なら隠さなくったって、と飽きれましたが
美味しい桜もちを食べてご機嫌になりました

白い兎は、ごめんねと謝った後
「でも、どんなに新しいことでも、誰かにそれを知ってもらわなかったら面白くないんだなって。
サクラもそうだけど一枚の花びらだけじゃ寂しいでしょ?何枚もの花びらが集まって一つの花になって
そうやって、咲いてるから綺麗だもんね。」

これからもし、新しい命を宿して、花びらの数がどんどん増えていくように家族が増えていっても
決して一枚もかけたりしないで綺麗な花になれたらいいな、と白い兎は思いました


そしていつも変らずそばにいてくれてありがとう、と黒い兎の頬にキスをすると
二匹のほっぺたはサクラのように色づきましたとさ

いつものことも、新しいことも、やっぱりいつでも気持ちは最初の頃のまま

白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒
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2012

0725
白い兎と黒い兎。

二匹はいつも一緒。

今日も一冊の絵本が届きました。
題名は「カガミガワリ」

お話は一匹の白い兎から。
兎は寂しい事や苦しい事が大嫌い
いつも都合が悪くなると
人に押し付けて逃げてしまうのです
自分でもそれはよくないと
そう、分かっていても
自分が傷つく事が嫌なのです

そんな彼の元に
一枚の鏡が届きました

手紙が添えてあり
「わたし、あなた。あなた、わたし」とだけ書いてありました。

鏡を覗くと
そこには黒い兎の自分
その瞬間吸い込まれるようにパタン
彼が起きたのは数時間後でした

周りを見ると夕食の準備が
それに部屋の掃除がしてあって
それが鏡の力だと知ったのです

それからと言うもの
都合が悪くなると鏡の力を借りて
彼は現実から鏡の中へ
その度に黒い兎が謝ってくれて
目が覚めると事は済んでいました

彼は苦しい事には関わらず
ストレスのない生活
自由気まま、やりたい放題

そんなある日、ふと気づくと
お尻の辺りに黒い斑点がポツン
お風呂でこすっても取れないので
どうやら汚れでもない
でも、痛いとかじゃないので
気にしないでいました。

また次の日も

その次の日も

鏡を覗くたびに大きくなる斑点
最後に気付いた時には
白くふわふわの毛は既に
黒い斑点に変わってしまいました

ただ不思議な事に
鏡の中の兎は黒いまま。
どうやら変わったのは自分だけ?

そこで彼は目隠しをして
鏡に向けて、聞きました
「おい!どう言う事だ。
こんなん望んじゃいない。」

まさかと思ったらやっぱり
鏡の中から声が聞こえる。
「困ったな、嫌なのかい?
また逃げるかい?」

彼はやられた事に今更気づき
涙ながらにお願いしました
「ああ、見逃してくれ
こんなはずじゃなかったんだ
分からないまま使ってたんだ」

すると、冷たい口調で一言
「あなた1人許すため
逃がしてくれるはずが無いでしょ。」

うさぎの目隠しがするっ

そこに映ったのは
泥にまみれた真っ黒な兎で
手で払い落とすと白い体に

自分にすら許されなかった彼の
最後に見た夢の先の自分でした



白い兎は言いました。
「逃げれば逃げる程
追っかけられ追い詰められる。
当然、謝らないと。だよね。」

黒い兎は言いました。
「確かに、じゃあここで一つ。
この前大事にしてた赤い花瓶
割った事を隠してないで
謝らないといけないのは誰かなー?」

そう。昨日白い兎が壊した花瓶。
黒い兎は気付いていたけど
白い兎が隠していたので
黙っていたのです

白い兎はドキッ
でも、こう言いました
「そうね。
でも、この前倉庫に置いてあった
贈り物のりんごを食べられてたの
あれは誰かなー、っと。」

それが引き金になって
二人は言い争い

この前、椅子にいたずらしたのは?
じゃあ机のペンの色を変えたのは?
大事なメモにいたずら書きしたのは?
嫌いなキノコ料理を作ったのは?
起きた時に、毛布を奪ったのは?
寝てる時、ベットから落とそうとするのは?

朝から晩まで言い合って
二人はとても疲れてしまいました。

白い兎は言いました。
「謝らないとご飯作らないよ?」

黒い兎は言いました。
「そっちこそ謝らないと
明日からクルミ取りにいかないよ?」

なら、私は洗濯しないよ?
なら、僕は洗濯物干さないよ?

なら私は
なら僕は

また言い争い

そして白い兎はこう言いました
「もう黒い兎と一緒にいない!」

黒い兎も言いました。
「白い兎となんか一緒にいない!」

そう言うと白い兎は
家を飛び出しました

黒い兎は追いかけません

夢中で走り出した白い兎
頬が真っ赤
白いふわふわの毛は涙でべっとり

どこへ向うかなんて考えないで

右へ左へ
左へ右へ

だけどすぐヘトヘトに
気づくと空は夜の色
月に照らされたお雲さん
なんだか黒い兎に似ていて
涙がポロポロ、止まりません

今帰ったら許してくれるかな
ちゃんと謝れば間に合うかな
花瓶壊したの怒ってたのかな
私の事、嫌いになったのかな


でも
謝りにいかなくちゃ

白い兎はとぼとぼ
帰り道をぽてぽて
ちっちゃな足跡が
いつもより歩幅が狭い
振り向くと点線みたい

やがて、お家に着きました
電気の灯るおうちの中から

ガチャーーン!

思わずドアを開けて飛び込むと
黒い兎と割れたお皿達
困った顔で拾っている所でした
キッチンの上は野菜が転がったり
焦げた料理や、散らばったゴミ

何より酷いのは黒い兎の顔
野菜の葉っぱやソースでべとべと

思わず白い兎は笑ってしまいました
「あ、ごめん。謝ろうと思っ…」

言うより先に黒い兎は言いました
「ごめんね。さっきは。
僕、よく分かったよ。」


絵本。白い兎が黒い兎になった
一方的に悪いと決めつけたけど
白い兎にも良いところ
きっとあったと思う

鏡の兎だってきっと
白い兎を頼りたくなる時だってある
本当はちゃんと力を合わせたら
「ダメだよ」と「ごめん」
これで良かった

僕もおんなじだったんだ、って

思いのたけを話して
最後に黒い兎はこう言いました
「ごめんなさい。売り言葉に買い言葉でした。」

黒い兎

料理。こんなに大変なんだね

洗濯。干すには当然
洗わなくちゃいけないんだよね

嫌いな料理。食べれたら嬉しいよね

夜。そばに白い兎がいるって
幸せな事だもんね

白い兎

料理。美味しいって思う人
だから作ろうって思うんだよね

洗濯。洗った後はヘトヘトで
手伝ってくれなきゃ日がくれるよね

嫌いな料理。誰でもいきなりは嫌だよね

夜から朝まで一緒にいるんだもんね、わがままだったよね

二人は背中合わせに座って


「ごめんなさい。ありがとう」
とにっこり笑って仲直り

白い兎と黒い兎

二匹はやっぱり、いつも一緒。



その後、白い兎がすぐに
料理を作り直してご飯

お風呂を黒い兎が洗って
バスタイム

二匹で協力しあって
ありがとうと言い合って

夜寝るときはいつもより
ぎゅっとくっついて眠りました
毛布一枚でも余る位


でも、朝には白い兎が
いつもの様に独り占めしてました
こればっかりは直らないよね
黒い兎はクスクス笑いました















2012

0725
白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒

そんな二匹の元に今日も一冊の絵本

題名は「アマヤドリ」


村の外れに一軒の小屋がありました

いつからそこにあるのか

誰がそこに住んでいるのか

だーれも知らない、そんな小さな小屋
がありました


ある日一匹の兎がその子屋の近くにやってきました

かなり遠くから飲まず食わず

お腹はぐーぐー、喉はカラカラ

倒れこむように小屋の扉を叩きました

「どなたか。どうか助けてください」

ぎー、っと鈍い音を立てながら扉が開いて、中からお爺さんの兎が出てきました

「どうされた、おわかいの」

答えるより先にお腹が、ぐー

「お入りなさい」

小屋の中に通されてびっくり

中にあるのは小さな椅子が一つだけ

助かったと思ったのにと

諦め掛けたその時

「ほれ、これを口にするといい」

そこには1杯の水とニンジンが3本

お腹の音がもう一度鳴るより早く

口の中一杯にニンジンを

それを流し込むように水を

朝になるまであっという間でした

感謝して、この食べ物と水はどこから手に入れたのか聞いてみると

お爺さん兎が持ってきたのは小さな植木鉢と空き瓶

くれたニンジンは今朝ようやく採れたもので、水は何日もかけて雨水を飲み水に変えたものだといいます

なんだか申し訳なくなって、泣き出しそうになりました

するとお爺さん兎はその手を握り
「なーに、気にするでない。このニンジンはちゃんと役割を果たした。水もそうじゃ。たまたまそれがわしのお腹でなくお前のお腹だっただけ。」

また育つの待てばよいと、俯く肩を叩くとドアを開け、優しく手をふりお爺さん兎は見送ってくれました


またある時、別の兎がやってきました

お腹に命を宿した一匹の兎

外はひどい雪で寒さが身に堪えます

体はガタガタ、手はカチカチ

倒れこむように小屋の扉を叩きました

「どなたか。どうか助けてください」

ぎー、っと鈍い音を立てながら扉が開いて、中からお爺さんの兎が出てきました

「どうした、おわかいの」

答えるより先に体を、ぶるっ

「お入りなさい」

小屋の中に通されてびっくり

部屋には小さな椅子が一つだけ

助かったと思ったのに、と

諦め掛けたその時

「ほれ、これを使いなさい」

とそこにあったのは一枚の布

体がぶるっと震えるより早く

頭から布をかぶり

みの虫のように包まると

朝になるまであっという間でした

感謝して、この布はどうやって手に入れたのか聞いてみると

お爺さん兎が指差したのは、小さな窓の上のほう

縫い合わせた布はカーテンとして使っていたもので、何ヶ月もかけて紡いだ蚕の糸で作ったものだといいます

なんだか申し訳なくなって、泣き出しそうになりました

するとお爺さん兎はその手を握り
「なーに、気にするでない。この布はちゃんと役割を果たした。蚕だってそうじゃ。たまたまそれがわしのカーテンでなく、お前の毛布だっただけ」

蚕がまた糸を吐くまで太陽と仲良くするだけと、俯く肩を叩くとドアを開け、優しく手をふりお爺さん兎は見送ってくれました


またある時、別の兎がやってきました

何も持たず、ボロボロの兎

お腹はぐーぐー、体はボロボロ

倒れこむように小屋の扉を叩きました


「どなたか。どうか助けてください」

ぎー、っと鈍い音を立てながら扉が開いて、中からお爺さんの兎が出てきました

「どうした、おわかいの」

答えるより先に膝から、がくん

「お入りなさい」

小屋の中に通されてびっくり

部屋には小さな椅子が一つだけ

助かったと思ったのに、と

諦め掛けたその時

「ほれ、これを使いなさい」

渡されたのは一枚の布と食べ物

まぶたがぱたんと閉じるより早く

目の前の食べ物を口に

布を体に巻きつけて

朝になるまであっという間でした

感謝しようとお爺さん兎を探し、大きな声で呼んでみると

小さな椅子の上に、置き手紙が一枚ありました

使っていた布はお爺さんが着ていたもので、食べ物は何日もかけて植木鉢に
なったものだといいます

申し訳なくなって、泣き出しそうになりました

すると手紙の最後に続きがあり

「なーに、気にするでない。この家の物達はちゃんと役割を果たした。たまたまそれが、わしの為ではなく、お前の為になっただけ」

今度はお前が雨宿りすればよい、と俯く肩を抱くように、優しい言葉でお爺さん兎は遠くに見える家を眺め、一言呟きました


今日もどこかでアマヤドリ

誰かが誰かにアマヤドリ



ぱたん。


白い兎はこのお爺さん兎が、とても黒い兎に似ていると思いました

昔から誰かの為に損しても平気な顔している所や、また次を期待すればいいと自分の事を後回しにするからです

白い兎が何度も注意しても、分かったとは言うけれども繰り返してしまうので、白い兎も呆れてしまうのです

その時、誰かが二匹の家のドアを叩きました

誰だろうと開けてみると、そこには一匹の子供の兎がいました

「どうしたの?こんな時間に」

答えるより先にお腹が、ぐーぐー

「どうぞ、入りなよ」

まるでお爺さん兎と一緒です

テーブルの上には夕ご飯が並んでいてこれから食べようとしていた所でした

二匹分しかないので、どうしようかと白い兎が困っていると

黒い兎は自分のお皿を子供の兎の前に置き

「さあ、召し上がれ」

子供の兎は勢いよくお皿の料理を口に運ぶとあっという間に料理を食べ切りました

食べ終わった兎は眠そうにこっくりこっくり

自分の布団に寝かしてあげると
優しくおやすみと声をかけて部屋に戻ってきました

白い兎はあまりにそっくりなその姿に大笑い

それを見て黒い兎はどうしたの?と聞きました

「だって、まるでお話のお爺さん兎そのものだよ、真似してたのかと思う位」
白い兎がお腹を抱えてそう言うと

「なるほどね。でも、僕とお爺さん兎とは全然違うよ」
と黒い兎は言いました

それが何か分からない白い兎が、答えはなにか尋ねると、黒い兎はニコッと笑って

「僕はここを雨宿りなんてつもりはないもん、ずっとこの家で君と一緒にいるって決めてるから」

次の日に子供の兎は感謝して、迎えに来てくれたお母さん兎と帰って行きました


白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒


p.s

でも、夜中にどうしてもお腹の空いた黒い兎がこっそり食べ物の棚を開けて見たら

そこには白い兎の夕飯の半分が置いてあってね、こうなるとばれてたかって
、お腹の音とおんなじ位、グーの音もでない黒い兎でした





2012

0725
白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒

二匹のある秋の夜のお話
今日はとっても大事な日
黒い兎の誕生日なのです

朝から白い兎は大忙し
美味しいご飯に飾り付け

あれをここに

これをそこに

黒い兎は言いました

「何かお手伝いしようか?」

白い兎は言いました

「主役は動いちゃだめ!」

黒い兎の左をぐるぐる

黒い兎の右をぐるぐる

行ったり来たり

来たり行ったり

大忙しに頑張る白い兎

なんだか嬉しかったけど、
でもなんだかくすぐったくて、
黒い兎はお散歩に出かけました

しばらくして、お家に帰ってくると
お家の中はとっても綺麗

キラキラ光るどんぐりのランプ

紅い落ち葉と黄色い落ち葉

お花も少し摘んで来て、テーブルに飾り付け

美味しそうなご馳走

全部が全部白い兎の気持ちで
だから余計に輝いています

白い兎は言いました

「お誕生日おめでとう!」

黒い兎は言いました

「朝から沢山ありがとう」

この日の為に作った料理とリンゴのジュース
どれもこれも美味しくて全部黒い兎の大好物

白い兎は美味しそうに食べる黒い兎を見て涙が出るほど嬉しく思いました

と、その時

白い兎はプレゼントを用意してない事に気づきました
いそいでいそいで準備に一生懸命で、
大事なプレゼント、忘れてました

本当は手紙を書こうとか

本当は絵を送ろうとか

喜んでくれてる顔は嬉しいけれど
でも形に残らないのが寂しくて
それになんだか悔しくて

白い兎は言いました
「ごめんね、プレゼント、忘れちゃった。」

すると、黒い兎は立ち上がり
ふわふわする白い兎を撫でながら
手をとって、外に連れ出しました

外はちょっと肌寒く、風が囁いていました
しばらく歩いて着いた場所
ちょっと小高い丘の上
雑木林と、石ころの散らばりを見ると多分あんまり知られていない場所

黒い兎は言いました
「ねぇ、あれ見て」
指差した先を白い兎は見てみました
そこに広がるのは大きな海
続けて黒い兎が言いました
「ここはね、不思議な場所なんだ。誰にも内緒の僕の隠れ家」

黒い兎が言うにはこうでした
ここに来ると葉っぱが話しかけてくれる
風が話しかけてくれる
星が話しかけてくれる
なんだか沢山の声に包まれる
海に映る月、空と交わってまるで空に沈んでるみたい。ソラニシズム。
サカサマの世界。起こるはずのない事が起こる世界。
そんなことを考えるとなんだかワクワクするんだよ、って。

もぞもぞと黒い兎は握った手の中からどんぐりのネックレスを取り出しました。

それは、一生懸命朝から頑張ってる白い兎の為に作ったものでした。
散歩の間にこっそりと。

黒い兎が言いました。「普通にあげたら怒るだろ?でも、ありがとうを伝えたくて。だからサカサマの世界のここでなら、ね?渡しても良いかなって…って、あり?」

横にはすやすや眠る白い兎。
優しい風がその白い毛を優しく包み、
華奢だけど大好きな黒い兎の胸の中。

朝から動いて疲れてしまって、白い兎はいつのまにか寝てたのです。

黒い兎はくすっと笑い、白い兎にそっとネックレスを付けてあげました。

海には空に沈む月と二人がキラキラと映っていました。

その夜おんぶで白い兎を連れて帰った黒い兎。
次の日は疲れてなかなか起きれなかったみたい。
白い兎に起こされて、ネックレスを指差すと
白い兎はにっこり笑って
「ソラニシズム、でしょ?」って。

そう、白い兎は寝たふりをしてたんだって。

白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒

2012

0725
白い兎と黒い兎


二匹はいつも一緒


今日も二匹の元に一冊の絵本
題名は「トミクラベ」


ある村に住む二匹の作家兎のお話
兎の名前は「ダー」と「ルー」

二匹は村でも有名な作家で
書く本はいつも大人気でした

そんな二匹がある日ばったり出会い
次回の作品の話をしました
ルーはびっくり
ダーもびっくり

話の中身は貧乏兎が、魔法で幸せになるお話

二匹は相手に負けまいと言い合い
「どんなに頑張ったって僕の話のが素晴らしい」

その日から二匹は顔をあわせるたびに
お互いのお話の凄さ比べ
どんどんどんどん
話は大きくなっていき
二匹の言い合いもいつしか
村でも有名な
言い争いとなりました

そしていくつか太陽と月が
入れ替わった、ある朝
ようやく二匹の本ができあがりました



ルーとダーは出来上がった本を抱え
待ってましたと村の兎は二匹の本を読みに
顔を見合わせた二匹は
ふん、とそっぽを向いて背中合わせ

「どっちの本が面白いかな?」
お客の一言で始まった喧嘩はひどいもので
本の事などもうそっちのけ

まるで子供のけんかのようです


そんな中ふと自分たちの手元を見てみると
書いた本が全く売れてません
それどころか皆不満げに本を置いていきます

慌てたルーがお客を捕まえて理由を聞きました
「今まで読んだ本の中で一番つまらない」
とても単純で、心に突き刺さるような理由でした


二匹のもとに残された本
それは取り返しのつかない失敗の山

「お前さえいなかったら」
「こっちだってそうだ」

騒がしい言い争いの中、向かいのお店を見ると
一匹の兎のお店が賑やかです
不思議に思い近寄ってみると
一匹の兎の書いた本が飛ぶように売れています


そんな馬鹿な、と二匹がその本を手に取り
中を広げてびっくり
一匹の貧乏兎、二匹の見栄っ張り兎に出会い
その兎をより幸せにしようと、富の自慢比べ
相手よりよいプレゼントをあげ続けて争ううちに
お互いの命さえも渡してしまう

沢山の宝石に、豪邸、毛皮のコート
きらきらに輝く兎の足元に二つの心臓が転がる様は、まるで
二匹をあざ笑うようでした


二匹は顔を真っ赤にして怒り出し
「なんて酷いことするんだ!こんなもの書いて」
「どうして止めなかった、おもしろがってたな」
文句を言いたい放題

するとその兎は最後のページを差し
「最後までちゃんと読むように」
そういい残して二匹から去っていきました

そのページを見てみると
沢山の贅沢を味わった兎が
二匹の前に現れて言うのです

「裕福になれたのは二匹のおかげ。
でも、この心臓は僕には受け取れない」

そうしてその心臓を地面に植えて水をあげると
すくすくと芽を出して幹を生やし、二匹の形を作り出し
木の皮がパカッと割れると中から元の二匹が生まれるのです
そして三匹仲良く、富を分け与えてくらすのでした


ルーとダーは自分たちがいかに馬鹿だったか
それに気付いて、呆れて口をぽかん
けれども気持はすっきりとして
ははは、と笑って仲直り
作った本をお互いに取替えっこしてもちかえりました


ぱたん


「だから、ルーとダーなんだね」
ルーとダー
あわせたらルーダーで愚か者でしょ?って
笑いながら黒い兎が絵本を棚に入れて帰ってくると

白い兎はご飯の準備

お皿に盛られた料理を前にして
黒い兎はつばを飲み込みました
白い兎も席について「いただきます」

おいしいねって笑いあって
いつもの料理におまじない
一緒に食べるだけでどれもごちそうに早変わり
決して贅沢ではないけれど
二匹は思うのです

富は独り占めするには大きすぎる
でも沢山あったら嬉しいのも確か
だから半分ずっこして一緒に持てば
一つの体に2つの富
こんなに幸せな事を僕たちは味わえる
なんて幸せなんだろう、と

そんな幸せを思うだけで
今がこれほど愛しく思えるんだ、と

その日の料理はいつもよりずっと
おいしくおいしくなりました

白い兎と黒い兎


二匹はいつも一緒



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