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2012

0725
白い兎と黒い兎


二匹はいつも一緒


今日も二匹の元に一冊の絵本
題名は「オヨグサクラ」
それはある海の世界でのお話
一匹のお魚がこんな話をしたのが始まりでした
「なぁ、知ってるか?地上ではサクラって花が咲くと皆大喜びで、その花の下で宴をするらしい」
すると、其れを聞いた別の魚が近寄ってきて
「そのサクラってのはそんなにすごいものなのかね。見てみたいなー」
と、海の上を見上げて呟きました

なんでも、トビウオが一度だけその花を見たことあるとか
その花びらは風に乗って空高く舞い上がるとか
噂が噂を呼んで
いつのまにか、サクラは願いを叶える幸せの花となりました

けれどどんなに頑張っても遠くの山に咲くサクラの花びらは
海に届くわけもなく、何年もの間、その姿を見たものはいませんでした

そんなある年のことでした
魚達がいつもの様に青く透き通った海の中を泳いでいると

びゅーん びゅーびゅー
強い風と共に波が
ざっぶーん ざざー
それはとても突然のことでした
慌てる魚達をあっちこっちと連れまわすように
海の中はかき回されて
必死にイソギンチャクの中に隠れるものもいれば
砂の中にもぐりこむものもいたりと
それはもう大変な騒ぎでした

いつもはどっしりと落ち着きのあるマグロ達や
群をなして行動するアジ達もチリジリになりながら
なんとかその日を乗り越えました

昨日までの嵐が嘘のように静かな朝
隠れていた魚達がその姿を現し始めました
一匹の魚がイソギンチャクから顔を出すと

ブクブク すー コツン

頭に何か堅いものがぶつかり
頭の上にお星様が一つ二つクルクル
どうやら昨日の嵐で飛ばされてきた折れた枝のようです

それはもう強い風でしたから
風に飛ばされて色々な物が飛んできていました


だからでしょうか
小魚より大きな葉っぱを新しい寝床に考えたり
大分流されてきた別の場所を泳ぐ魚に挨拶をしたり

もちろんいなくなってしまった家族を探すものや
たくさんの怪我を負った魚もいましたが

皆過ぎ去った嵐に一安心
そして新しい出会いや気持ちで立ち直ろうと努力したのです

そんな中ある一匹の魚があるものを見つけ叫びました
「おい!あそこをみてくれよ、なんだか変だぞ」

その方向に目をやると海がまるで照れているみたいに
薄い桃色に柔らかく光っていました

舞い上がった砂のかけらがラメのように太陽の光で色づいてキラキラ
その中を泳ぐようにヒラヒラと舞うのはまぎれもなくサクラの花びら
どうやら昨日の嵐で飛ばされた花びらが
強い風に連れられて海に運ばれてきたのでしょう


とても綺麗なその光景は傷ついた魚達に元気を与え
これからの新しい出発の背中を強く押してくれました

魚達は感謝をして、全ての花びら落ちきるまで
ささやかではあるけれども、もてる限りのお祝いの宴をしました

新しい家族を作るものや少しの食事をわけあうもの
皆を笑わせようと踊りを踊るものや歌を歌うもの
再開に喜びあい、抱き合うものやキスするもの

そして最後の一枚がヒラヒラと沈む中
魚達はそっと目を閉じ願いを込めました

「私たちの新しいスタートに大きな幸せを」

薄目を開けた一匹の目には
ヒラヒラと堕ちる花びらが一瞬ペコっと
感謝のお辞儀したように見えたそうです

ぱたん


「サクラって本当に新しい出発って感じだもんね」
黒い兎はふむふむと頷きながら言いました

窓の外ではお母さんに手を引かれて
小さな兎がポテポテ歩いています
自分の子供の頃にもあんな風にしていたっけ、と
昔を思い出してクスクス笑っていると

「新しいことか、私も何か始めてみようかな」
思い立ったように白い兎が何かを始めました

黒い兎は何をしているのか気になったので
後ろからこっそり覗こうとすると
「みちゃだめ!これは私が見つけた新しいことなんだから」
と白い兎が両手で黒い兎の目を隠しました

どうしても何をしてるか見せてくれない白い兎に
黒い兎はふてくされていると

「じゃーん、おまたせ。」
頬をぷくーっと膨らませた黒い兎が振り向くと
ランチボックスを片手に微笑む白い兎がいました


そうして黒い兎が手を引かれたどり着いたのは
村で一番綺麗なサクラの木の下
まだ状況の分からない黒い兎がむすっとしていると

「はい、これが私の新しいこと」
目の前に出されたのはサクラの葉で包んだおもち

「新しく桜もち、挑戦してみたんだけど。」
黒い兎はこれくらいの事なら隠さなくったって、と飽きれましたが
美味しい桜もちを食べてご機嫌になりました

白い兎は、ごめんねと謝った後
「でも、どんなに新しいことでも、誰かにそれを知ってもらわなかったら面白くないんだなって。
サクラもそうだけど一枚の花びらだけじゃ寂しいでしょ?何枚もの花びらが集まって一つの花になって
そうやって、咲いてるから綺麗だもんね。」

これからもし、新しい命を宿して、花びらの数がどんどん増えていくように家族が増えていっても
決して一枚もかけたりしないで綺麗な花になれたらいいな、と白い兎は思いました


そしていつも変らずそばにいてくれてありがとう、と黒い兎の頬にキスをすると
二匹のほっぺたはサクラのように色づきましたとさ

いつものことも、新しいことも、やっぱりいつでも気持ちは最初の頃のまま

白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒
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