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2012

0725
白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒

今日も二匹の元に一冊の絵本

題名は「ボロノハナ」

お話は一匹の凄く汚い兎
周りの皆は下げずむ目
彼の事を「ボロ」と呼びました

ボロは皆の嫌われ者
おうちもなくて
お父さんもお母さんもいなくて
だからいつも一人きり

誰かに会えば
蹴飛ばされたり
叩かれたり
ゴミをぶつけられたり

今日もボロは怪我だらけ
あざだらけの体と
痛くて引き摺る脚
小さな肩を震わせて
暗い森の中へ帰ります

ジメジメとした森の中
シクシク聞こえるボロの声

涙は止まらない
泣く必要
ほんとはないのにな

あまりに不憫な自分に
ボロはなんだかおかしくなって
思わず歌い出しました

「ボロはどんな子知ってるの?
いい子?わるい子?汚い子?
僕は僕を知ってるよ

あなたが僕を知らないなら
僕は知らせてあげたかった

笑って、笑って、笑って欲しいよ
ぎこちなく僕は生きる
ちくはぐな答えでもいい
正しい、正しい言葉は

ここにあるのに
まだ言えないよ」

やっとの思いで着いた
ボロの眠る穴ぐら
とっても小さなその中には
皆が捨てたものだらけ

落書きされたポスター
終わりのページのない絵本
髪の毛のない人形
どれもボロが拾って来た
ボロの大事な宝物

「ただいま皆、えへへ。
またいじめられちゃったよ」

無理やりに笑顔をつくりました
涙もまだ止まってないのに

割れてヒビだらけのランプ
マッチを擦って火をつける

散り散りな光が部屋に広がって
ようやく、ボロは一安心
ランプの光を眺めていたら
なんだか眠くなって来ました

「あーあ、なんだか疲れちゃった。
これ、後で皆でたべよ。だから少し休ませてね」

その手に握られてたのは
一袋のビスケット
その袋を大事に抱きしめて
ボロは目を閉じました



「ボロ?ボロってば!」
誰かが自分を呼んでいる

目を覚ましてみると
ボロが拾った人形がいました
「もー、いつまで寝てんのさ。死んじゃったかと思ったよ」

間違いなく喋ってるのは人形です
ボロはわけがわからず呆然

「どうしたの?そんな顔して。
あっはは。おかしいの、変な顔」
人形は続けて言いました

ボロは慌てて周りを見渡すと
そこは穴ぐらではなくて
ふかふかのベッドの上
どこか記憶にあるけど
部屋もお城の中みたい

怖い思いを隠しながらボロは聞きました
「ここは…ここはどこ?」

すると、人形が答えます
「ここは絵本の中だよ
ボロが読んでた絵本のね」

なるほど、確かにそうだ
読んでた絵本の王子様は
確かにこの部屋にいたんだった

人形がボロの手を取り言いました
「ほら!急いでボロ!
次のページが始まっちゃう」

そう言われて引っ張られるように
ボロはお話の世界を進んで行きます

馬に乗ったり
ダンスを踊ったり
あったかいご飯を食べたり
星空の元散歩したり
魔法使いに会って
お姫様を見つけたり

お話が終わりに近づいて
ボロは気づきました

おしまいが破けてるんだ、って

すると、人形が
ニコッと笑って言いました
「大丈夫だよ、僕達に任せてよ」

そうして、夜が明けると

そこに広がるのは綺麗な景色
覗くと街並みが見えます
空には色鮮やかな虹がかかっています

ボロはその虹を見て
これはポスターの中なんだ
そう思いました

落書きを隠そうと
葉っぱや花を集めては
落書きの上から貼り付けて
ポスターにボロは虹をかけたのです

不格好だけど鮮やかな虹
花と草が作る虹
ボロの描いた宝物の景色
なんて素敵なエンディングでしょう

人形が近寄って来て言いました
「僕の為に布で帽子を作ってくれた。
絵本の汚れを丁寧に直してくれた。
ポスターの落書きを素敵にしてくれた。
宝物って言ってくれた。

傷つけられたら痛いよね。
ダメになったからって、
捨てられたら辛いよね。

でも、僕達は捨てられる前より
今の方がずっと好きだよ。」

ボロの手にはビスケットの袋がありました。
「食べよっか、ビスケット。
今日はね、君の誕生日なんだよ?
あの日落ちてた人形の君を拾って
穴ぐらに持ち帰って一年。
だからちょっと頑張ったんだ
でも、あーあ。」

袋の中には
粉々になったビスケット

いじめの中で
ボロが守ったビスケット

一つ取り出すと
ボロは人形に差し出しました
欠片ほどの小さな小さなビスケット
でも、思いのこもったプレゼント
人形は涙こそ流せないけど
肩を震わせて言いました。

「ボロ。ありがとう。
汚くて、アザだらけで、傷だらけ。
ボロは自分に理由を探してたけど
むしろ、最初からなかったんだ。
もう、やめよ。
もう、それでいいんだよ。」

人形に抱きつかれて
ボロは沢山泣きました。
正しい言葉はここにあった。
ずっと捨てられたらと思っていた理由
本当は初めからなかった。
そんな、分かっていた何かを
知りたくて、知らせたかった。

ボロはそのままビスケットを抱いて
人形に抱かれて眠りました。

朝になるとそこには焼けた兎の骨。
焼けて焦げた人形と
倒れて欠けたランプの破片。

それからそこには花が咲くのです
汚くてボロボロ
でもそれでいいと咲く
ビスケットみたいな中心の
ボロの花

ぱたん。



白い兎がその絵本を閉じて
黒い兎に渡しました

黒い兎が本棚に入れようと
手を伸ばしたその時
本が手元からするり
思わず本をつかもうとして
本と一緒に転んでしまいました

「あいててて」

腰をぽんぽん黒い兎が本を見ると
無理につかんだせいで
ページをいくつか破いてしまいました

急いでそのページを直そうと
黒い兎は部屋に戻って
白い兎と破けたページを探しました
1ページくっつけては乾かして
また1ページくっつけては乾かして
段々と元通りになって行く絵本
そうして、最後の1ページ

ボロが歌うページでした
泣きながら必死の笑顔で
歌うボロの絵の入ったページ

白い兎は言いました。
「ねえ、このページ…」
黒い兎は頷くと
「うん、僕もそう思う」

二匹は本を閉じて
そのページを破りました

何回も

何回も

ボロの事は知れたから
皆は知れなかったけど
僕達は知れたから
もうボロが歌う事がないように
歌った事などない事にしようと

びりびりに破けて
紙くずになったボロの歌
ひらひら、ひらひら
二匹の上で舞い散りました

森の緑とボロの血の赤
それはまるで絵本で見た
ボロのポスターの虹みたいに
とても綺麗なものでした
ありがとうって伝えるみたいに

二匹はその後その破片を拾って
暖炉の中で燃やしました

白い兎は言いました
「笑っていいんだよ、ボロ
あなたが捨てられないものは
初めからなかった、それでいいの」

黒い兎は言いました。
「ただしいものなんて見つからない
だから、してあげられない

間違えでもいい

ちぐはぐで構わないなら
これがきっと答えだよ」

白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒


p.s
その日、白い兎は
子供の頃大事にしてた人形を
引っ張り出してきてね
それこそボロボロなその人形を
ぎゅっと抱きしめて眠りました

それを見て黒い兎は
いつも繋いでる手が
人形にとられたと
ちょっとだけ
ちょっとだけ
人形にやきもちを焼きました
























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