2012
白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒
今日も二匹の元に一冊の絵本が届きました
題名は「ナゲヤリンネ」
ある一匹の兎が歩いていました
てくてく、てくてく
道に一枚の紙とえんぴつが落ちていました
兎は空の絵を描き始めました
青い空は動かないけれども
見上げる度に動く雲が、うまく描けなくて
めんどくさくなって草むらに、ぽいっ
もうちょっとでできあがりなのに
兎はすっかり忘れて歩き続けました
てくてく、てくてく
道に一本の笛と楽譜が落ちていました
兎は譜面を見ながらその曲を吹き始めました
ドレミファソラシドは読めるけれども
流れるメロディーには、うまくリズムが合わなくて
めんどくさくなって草むらに、ぽいっ
もうちょっとでできあがりなのに
兎はすっかり忘れて歩き続けました
てくてく、てくてく
道にジグソーパスルと出来上がりの写真が落ちていました
兎は写真を見ながらジグソーパズルを組み立て始めました
写真をみれば組み立てるのは簡単だけれど
隙間が減る度に、次のピースは見つかりづらくて
めんどくさくなって草むらにぽいっ
もうちょっとでできあがりなのに
兎はすっかり忘れて歩き続けました
てくてく、てくてく
道に一匹の兎が木の下で何かを思いつめていました
兎は尋ねました
「こんなところで何をしている?」
木からのそのそと現れて兎は言いました
「めんどくさいことを投げ出そうと思ってね」
言葉の意味はそのまんまでわかるけれど
何をするのかはその兎の事なので分からなくて
めんどくさくなって無視をしてぽいっ
すっかり忘れようと思っても気にかかって仕方なく
兎が木の元に戻ると
道にはぐったりとして、目をとじたままの兎がいました
兎は駆け寄って肩を揺らしてみました
死んでしまっているのは見ればすぐ分かるけれども
過ぎてしまった今のままでは、どうしてこうなったのか分からなくて
兎はめんどくさがった自分を涙と一緒に、ぽいっ
ようやくできあがったみたい
ある兎が一匹、歩いていました
てくてく、てくてく
道には一つのお墓と、枯れた花が一厘落ちていました
兎は傍の花を摘むとお墓に備えてあげました
お墓には何か書いてあり
なげやった命は拾えない、は読めるけれども
時間が経ってしまった文字は、うまく読めず
めんどくさくなってお墓に花を、ぽいっ
こうして兎は歩き続けていきました
終わることなく
てくてく、てくてく
それもまたなげだされた、終わらないなげやり
パタン
二匹は本を閉じてしばらくは心がもやもやして
窓の外の景色と同じような曇り空でした
白い兎が気を紛らわそうと、紅茶を入れに立ち上がると
外で大きな音と激しいケンカの声がして、思わずしゃがみこんで
ぶるぶる震えて動けなくなってしまいました
黒い兎が大慌てで玄関を開けてみると
向かいのおじさん夫婦が大ゲンカをしていました
よくある事ではあったけれども、お人よしの黒兎はいてもたってもいられなくなり
二匹の元に行って、ケンカを止めに入りました
黒い兎のおかげもあって、ケンカはすぐにおさまり
白い兎もようやく安心して、黒い兎の元に駆け寄ってきました
黒い兎は聞きました
「何度もケンカばかりして。なげやりに相手を傷つけるような事してどうしてですか?」
おじさん夫婦は頭をかきながら恥ずかしそうに言いました
「ケンカは悪いことかもしれん。でもな、それが老夫婦の証のなんじゃろな」
心がちゃんと相手を見ているから、すれ違う
一緒なんて事は誰にもありえないのだから
文句もでないようでは、もう相手を見ていないようなもの
おじさんはそう言いながら、迷惑かけた事を謝りました
二匹の老夫婦からなげやりにしない事の形を知って
黒い兎は思ったのです
いつか年をとって
それでも、傍にいてくれて
にっこり笑ってくれる君の目が
投げ出して遠い先じゃなくて
しっかりと僕の姿を見てくれていますように
怒られるのは苦手だけれども
それでも投げ出していなくなりませんように
投げ出し続ける世界の中で、けしてその距離が離れないように
強く手を握るのです
白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒
二匹はいつも一緒
今日も二匹の元に一冊の絵本が届きました
題名は「ナゲヤリンネ」
ある一匹の兎が歩いていました
てくてく、てくてく
道に一枚の紙とえんぴつが落ちていました
兎は空の絵を描き始めました
青い空は動かないけれども
見上げる度に動く雲が、うまく描けなくて
めんどくさくなって草むらに、ぽいっ
もうちょっとでできあがりなのに
兎はすっかり忘れて歩き続けました
てくてく、てくてく
道に一本の笛と楽譜が落ちていました
兎は譜面を見ながらその曲を吹き始めました
ドレミファソラシドは読めるけれども
流れるメロディーには、うまくリズムが合わなくて
めんどくさくなって草むらに、ぽいっ
もうちょっとでできあがりなのに
兎はすっかり忘れて歩き続けました
てくてく、てくてく
道にジグソーパスルと出来上がりの写真が落ちていました
兎は写真を見ながらジグソーパズルを組み立て始めました
写真をみれば組み立てるのは簡単だけれど
隙間が減る度に、次のピースは見つかりづらくて
めんどくさくなって草むらにぽいっ
もうちょっとでできあがりなのに
兎はすっかり忘れて歩き続けました
てくてく、てくてく
道に一匹の兎が木の下で何かを思いつめていました
兎は尋ねました
「こんなところで何をしている?」
木からのそのそと現れて兎は言いました
「めんどくさいことを投げ出そうと思ってね」
言葉の意味はそのまんまでわかるけれど
何をするのかはその兎の事なので分からなくて
めんどくさくなって無視をしてぽいっ
すっかり忘れようと思っても気にかかって仕方なく
兎が木の元に戻ると
道にはぐったりとして、目をとじたままの兎がいました
兎は駆け寄って肩を揺らしてみました
死んでしまっているのは見ればすぐ分かるけれども
過ぎてしまった今のままでは、どうしてこうなったのか分からなくて
兎はめんどくさがった自分を涙と一緒に、ぽいっ
ようやくできあがったみたい
ある兎が一匹、歩いていました
てくてく、てくてく
道には一つのお墓と、枯れた花が一厘落ちていました
兎は傍の花を摘むとお墓に備えてあげました
お墓には何か書いてあり
なげやった命は拾えない、は読めるけれども
時間が経ってしまった文字は、うまく読めず
めんどくさくなってお墓に花を、ぽいっ
こうして兎は歩き続けていきました
終わることなく
てくてく、てくてく
それもまたなげだされた、終わらないなげやり
パタン
二匹は本を閉じてしばらくは心がもやもやして
窓の外の景色と同じような曇り空でした
白い兎が気を紛らわそうと、紅茶を入れに立ち上がると
外で大きな音と激しいケンカの声がして、思わずしゃがみこんで
ぶるぶる震えて動けなくなってしまいました
黒い兎が大慌てで玄関を開けてみると
向かいのおじさん夫婦が大ゲンカをしていました
よくある事ではあったけれども、お人よしの黒兎はいてもたってもいられなくなり
二匹の元に行って、ケンカを止めに入りました
黒い兎のおかげもあって、ケンカはすぐにおさまり
白い兎もようやく安心して、黒い兎の元に駆け寄ってきました
黒い兎は聞きました
「何度もケンカばかりして。なげやりに相手を傷つけるような事してどうしてですか?」
おじさん夫婦は頭をかきながら恥ずかしそうに言いました
「ケンカは悪いことかもしれん。でもな、それが老夫婦の証のなんじゃろな」
心がちゃんと相手を見ているから、すれ違う
一緒なんて事は誰にもありえないのだから
文句もでないようでは、もう相手を見ていないようなもの
おじさんはそう言いながら、迷惑かけた事を謝りました
二匹の老夫婦からなげやりにしない事の形を知って
黒い兎は思ったのです
いつか年をとって
それでも、傍にいてくれて
にっこり笑ってくれる君の目が
投げ出して遠い先じゃなくて
しっかりと僕の姿を見てくれていますように
怒られるのは苦手だけれども
それでも投げ出していなくなりませんように
投げ出し続ける世界の中で、けしてその距離が離れないように
強く手を握るのです
白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒
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