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2012

0725
白い兎と黒い兎

二匹はいつも一緒

今日も二匹の元に一冊の絵本

題名は「シアワセノジョシュ」

「はー。幸せになるにはどうしたら良いのかな」
物語の始めはそんな一言から

一匹の、自分を大事にできない
兎のシンは溜息をつき
外を眺めていました
そもそも幸せってなんだろう
お金があること?
女の子にもてること?
分からない事を考えて
ただただ頭を抱えていました

外に散歩にでたある日
池の側で一休み
何時の間にか、うとうとしていたら
空からひらひら一枚の羽

シンはその羽を手に取りました
異様に柔らかく綺麗な羽
鳥達の羽とは違うそれに
なんだか不思議に思い
その羽を大事に包み持ち帰りました

その夜、シンが眠っていると
鼻を何かがくすぐるので
「へっくしゅん!」
おもわずくしゃみをして
シンは目を覚ましました

そこには一匹の妖精がいて
よく見るとその妖精の羽は
昼に拾ったあの羽に似ています
もしかしたらと思い
シンは妖精に聞きました
「この羽、君の?」

妖精は軽く頷いて
ペコっと会釈をして言いました
「なるほど、そう言う事。
あんたシン?どうも、僕はイチ。」
無愛想で乱暴な口ぶり
とても想像や話で聞く妖精ではなく
シンは呆気にとられました

シンは続けて、たんたんと
自分が妖精だということ
その持ってる羽が自分のである事
なぜここにきたのか
これから何をするのか
それらをざっくばらんに説明しました

そして、そこから先は文句の嵐
羽を探すのに苦労したとか
それは、あんたが持ち帰るからだとか
部屋が汚くて羽が汚れたとか
終いには、あんたは酷い有様だと

シンは頭にきて言葉を無視して
布団に潜ると目を閉じました
明日には夢だったとなるように

しかし、訪れた朝に
そこにいたのは無愛想なままの
イチでした

溜息をつくシンに
「部屋の掃除したら?
ゴミはあんたの家族?大家族だこと」
イチは嫌味をたんたんと言いました

イライラはしましたが
返す言葉もないので
しぶしぶシンは掃除を始めました

溜まったゴミはゴミ袋へ
埃を雑巾で拭いてピカピカに
すると、イチがある場所を指差し
ここを掃除しろと指示をします

そっぽ向いていてもしつこく言うので
たまりかねてシンは向かいました
掃除をすると、そこから
昔の彼女との写真がでてきました
大好きだった思い出がささります

シンは頭にきて
「なんのつもりだ?
こんなもの見せておもしろいのか?」
と怒鳴りつけました
イチはまるで他人事の様に知らんぷり
シンは気を悪くしながらゴミ袋に
その写真を放り込みました

掃除を済ましたのは昼過ぎで
シンは街に夕飯を買いに行くことに

するとまた、イチが言いました
「ゴミはファンデーション?
なるほど、伸ばしっぱなしの毛並み
お似合いだ。おみごとなセンスだ」

シンは鏡を見ると確かにで
言い方に怒りは覚えたものの
ハサミを手にお風呂に向かいました

長く伸びた毛並みを揃える
チョキチョキ、ぱさっ
チョキチョキ、ぱさっ
その時、手を滑らせてしまい
チョキ、びっ
指先を切ってしまい流れる血

お風呂上がりに絆創膏
イチはそれを何食わぬ顔
本当に嫌な奴だと思いながら
家を出ました

さっさと買い物を済ませて
家に戻ると一枚の手紙がありました
それはお母さんからの手紙でした
シンはたいして読まずに
その手紙を机の中にしまいました

それを見たイチは
「親の心子知らず。
あんた教科書載せれる位の見本だわ。
おめでとう、有名人の仲間入りだ」

いい加減頭にきてシンは言いました
「お前に俺の何が分かる?
ふざけるな。読むだけ無駄なんだよ」

するとイチは冷ややかに
「わかんないね、あんたの事なんか。
でも、来たら読む、読んだら返す。
子供でもありがとうの一つは書く。
その位は僕でなくてもわかるよ?」

言い返すのも馬鹿馬鹿しくなり
机からハガキをだすと

母さんありがとう
僕は母さん手紙が大好きです
また書いて来てね
楽しみにしてます

と書いてイチに叩きつけました
イチは相変わらずの無表情で
そのハガキを見つめていました

そして、簡単な夕食を済まし
夜も更け、布団に潜りました
散々な一日だった
何が幸せだ
イチは嘘つきだ
幸せなんかするつもりなくて
ただ自分を馬鹿にしに来たんだ
追い出してやろう
それがいい

ばっと起き上がると
イチを指差しシンは言いました
「出ていけ!さっさと消えてくれ!」

腕を振り回しまし、追い払おうと
大きく手を振り上げた、その時

ふらっ

あれ?

ぱたん。

気づくとベットに倒れ込んで
シンは息ができない位の
苦しみに襲われていました

イチが月を見て
「時間か。ぴったりだな。」
と呟きました。

シンは苦しみの中、必死に
「どういう事?」
と言葉を吐き出しました

イチが言うのは
あんたは今日死ぬ予定で
分かってなかったろうが
大病持ってたんだと

あんたに伝えたいことがある
幸せが何かって?
ちょっとだけ幸せになれたらそれでいいじゃない


送らない手紙を今日書いた
今日を最後の手紙をちゃんと書いた

で、あんたは、全部知らなくなるかもしれない
その前に思い出してほしかった
忘れ物なんか、しないで欲しかった
あり得ないかもしれないけど
一番遠いもの思い続けられるように
今より先にちょっとだけ
幸せになってくれればいいなって



不思議と死ぬ怖さはシンになくて
なんとなく温かい気持ちになりました
ゆっくり目を閉じると
イチの羽の残像がいくつも宙を舞っていました
そうして、記憶を閉じ込める様にまぶたを閉じて、意識が遠くなるのを感じました

最後の気力を振り絞ってシンは言いました
「なあ、母さんの手紙読んでくれないかな?」

目を閉じたシンに聞こえた
母さんの手紙を読むその声が
とても優しく、温かく聞こえたのは
きっと、ちょっとだけの人より幸せになれたから*

ぱたん。


白い兎は言いました
「なんだか深い本だね
幸せは形がたくさんあるよ?
って事なのかな?」

黒い兎は言いました
「かな。でも、死ぬ間近の事でしょ?
まだよく分からないしね。
僕は単純にプラスの幸せのがいいな」

二匹は顔を見合わせて
そりゃそうだと頷きました

そして二匹は幸せな事を
お互いに出し合いました

美味しいご飯を食べれる事
元気にいられる事
お金がある事
大好きなクルミがある事
布団がふかふかな事
そして二匹一緒にいれる事

単純だけど大事なこと
なんだか再確認できたようでした

ふと、白い兎が聞きました
「ねえ、与える側のイチの幸せって?
死んじゃうのが分かってたのになんだったんだろ?」

うーん、分からない
多分イチはそういうのは
考えてないんじゃないかな
黒い兎は首を傾げました

黒い兎は言いました
「でも、イチだからこそシンは
幸せだったんだと思うよ。
だってほら。」

絵本の一番後ろに作者が書いていたのは

辛(シン)+一(イチ)=幸(シアワセ)

黒い兎は白い兎の頭を撫でて
「二匹で成り立つ幸せ。
僕がイチなら
きっとこれで十分幸せ。」

白い兎もなるほど、うんうんと頷いて
イチが気づいてたら良いと思いました
ただ、あの無愛想と口の悪さが嫌だと
ちょっとだけ悪口を言いました

白い兎と黒い兎

二匹いつも一緒で幸せ






































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