2012
白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒
今日も二匹に一冊の絵本
題名は「コウモリウタ」
ある村に住む一匹の兎
大勢の前に出るのがとっても苦手
周りの皆がおはようって挨拶しても
俯いてごもごも、もじもじ
初めは皆も優しくて
何度も挨拶したり声をかけたけど
そのたんびに下を向くので
段々皆も変わってしまった
面白半分に声をかけて
耳元で大きな声で
「聞こえてますかー?」
彼の周りを囲んでは
しゃがみ込む彼をからかいました
いつしか皆は彼の事を
皮肉混じりにこう呼びました
「きょど」って
そんなきょどにはただ唯一
話せる相手がいました
それは村のはずれに住む
こうもりお婆さん
こうもりと言っても兎
いつも布を頭からかぶり
手を広げた姿がこうもりみたい
村の皆はそれをみて
こうもりお婆さんと呼びました
「ばあちゃん!ばあーちゃん!」
ドアを開けるなりきょどは
こうもりお婆さんに飛びつきました
「なんだい、聞こえてるよ、もう。
どうしたんだい?何か良いことでもあったんかい?」
お婆さんは言いました
「何いってるんだよ、良いことがあったら涙なんか流すもんか。」
涙を、いっぱいに貯めて
きょどは怒鳴りました
あーでもないこーでもない
きょどは思いのままに
喉がからからになるまで
あったことを話しました
それをお婆さんはただ、椅子に座って
うんうんと聞き続けました
やがて話疲れて
きょどはその場にぺトン
お婆さんはきょどを抱き上げると
お膝に乗せて、頭を撫でました
そして優しく歌うのです
まるで子守唄のように優しい声
*あで始まる言葉はなーに?
それはあなたが迎える朝
ありがとうって言ってあげよう
赤いほっぺに 甘い飴玉
新しい靴で歩いてみたら
青空が挨拶してくれた
明日の朝にまた会えたなら
挨拶くれた青空に
ありがとうって言ってあげよう
いっつも歌ってくれるその歌が
きょどはとっても大好きです
何度も歌ってくれるその歌を
一緒に口ずさむと褒めてくれて
あんたは本当に綺麗な声だねって
誰にも歌うことはできなくても
お婆さんだけが聞いてくれたら
それで褒めてくれたら
きょどはそれで満足でした
きょどはお婆さんを見上げると
「なんでいつも布被ってるの?
皆こうもりだなんて呼んでるよ?」
お婆さんは柔らかい表情のまま
きょどを布の中に引き寄せると
「内緒の内緒のおまじないさね」
ニコッと笑って、ぎゅっと抱きしめて
全てを隠すような布の中で
きょどは両手を広げてみました
薄暗い明るみから見える世界は
ぼやっとした曖昧な景色で
でも手に触れるものは凄く確か
そこはまるで夢の中のようで
同時に不思議な気持ちになりました
それからしばらく時間を過ごし
夕暮れで帰る時にお願いをしました
「ねえ、僕にも布ちょうだい!」
優しく微笑みお婆さんは言いました
「あんたが大人になる前に」
それから幾月か経って
相変わらず、きょどはもごもご
そのたんびに泣きついて
それもまた相変わらず
お婆さんも優しく微笑み
いつものように歌を聞かせて
ただその声は日に日に弱弱しく
抱きしめる腕は細く痩けてしまい
それは、自然ときょどを焦らせました
きっと僕が変わらないから
お婆さんを疲れさせてしまって
だから皆の前で話せるようになって
安心してもらえば元気にまたなると
そんな風に思っていました
そんなある日
きょどはお婆さんが倒れたのを知り
急いで駆けつけました
たいした事はないさね、と
お婆さんはきょどを不安にさせぬよう
無理に笑ってみせました
きょどにはその笑顔が辛すぎて
まともに顔を見れませんでした
お婆さんは一枚の手紙をきょどに渡し
ポストに入れてくれと頼みました
それと、もう一つお手伝いを頼み
手伝ってくれたら布をあげると
約束してくれました
手紙をポストに出して数日
村の掲示板に張り出されたのは
お婆さんがパーティーを開く
そんな内容のポスターでした
お婆さんに聞いたら
昔はよくパーティーを開いてた事
あの歌を一緒に歌いたいと言う事で
普段なら断るきょども
この機会だけは避けてはダメだと
なんだかそんな風に感じたのでした
それからというもの
お部屋の飾り付けやご馳走の準備
歌の練習にと大忙し
あっという間にパーティー当日です
緊張で落ち着かないきょどを横目に
変わらぬ様子でお婆さんは
椅子に腰掛けていました
きょどを膝の上に呼ぶと
布の中に招き入れ
静かに話し始めました
「隠す事で見せれる物があるとしたら
あんたは、沢山良い所があるんだ。
その為なら隠してしまえばいい。
この布はね、あたしがあんたと同じ
わけも無く怖がってた頃にね
教えてくれたおまじないなんだよ。」
まさかこんなに長くかぶり続けるとは思ってなかったけどね
と照れくさそうに笑うと
きょどの頭を優しく撫でました
そして、手伝いをしてくれたので
パーティーが終わったら
布をあげると約束しました
きょどとお婆さんは
パーティーが始まるまでの間
沢山のお話をしました
子供の頃の話や
布を被った時の気持ち
お互いの事
どれも、新鮮で
きょどは普段どれだけ自分の事しか
話していないかに気づいて
ちょっぴり恥ずかしかなりました
お婆さんは少し眠くなって
ちょっと休むよと、こくりこくり
きょどはいつものお礼に
歌を歌ってあげました
優しく響くその歌声は
お婆さんの心に染み入るようで
本当にあんたの歌は素敵だと
幸せそうにお婆さんは目を閉じました
やがて、パーティーの時間がせまり
お婆さんを起こそうときょどは
その手を掴むと
冷たく
力無く
一つの終わりがそこにありました
信じられない位幸せな顔は
全てに満足しているかのようでした
きょどはそれを見て決心しました
次々と家に来てくれる村の皆
椅子に座ったまま動かないお婆さん
きょどはその中に入ったまま
お婆さんの代わりに挨拶をしたのです
「今日はありがとう」
「ようこそ、来てくれました」
「楽しんで行ってね」
普段なら口にするのが怖いはず
でもなんでか自然に話せるのです
食事も終わり
やがて歌の出番に
ろうそくの火が灯り
椅子に座るお婆さんが
ほのかに照らされました
布に覆われて俯くお婆さん
皆が注目したその時
お腹らへんから手が広がるように
横に布が広がると
お婆さんのシルエットの中に
小さな子供の影が重なりました
驚く声
怖くなり逃げ出す兎達
ドアに手をかけたその時
「待ってください、お願いします」
きょどの声で皆が振り返ります
きょどは布の中から話し続けました
驚かせてしまった事
皆がきょどと呼んでる兎だと言う事
そして、お婆さんが死んでしまった事
あぜんとする皆にきょどは
「こうもりお婆さんは言いました。
隠す事で見せれる事があると。
布に隠しておまじない。
布から見える世界は
やっぱり薄暗く曖昧で、
でも、不思議と話すのが怖くない。
教えてくれたお婆さんの為に
褒めてくれた歌を歌います。」
静まり返る中
広がるように響く歌声
天にまで届く様に
きょどは歌いました
*あで始まる言葉はなーに?
それはあなたが迎える朝
ありがとうって言ってあげよう
赤いほっぺに 甘い飴玉
新しい靴で歩いてみたら
青空が挨拶してくれた
明日の朝にまた会えたなら
挨拶くれた青空に
ありがとうって言ってあげよう
会えなくなったあなたにも
ありがとうをあげましょう
愛してくれてありがとう
あなたに会えてありがとう
その歌声に皆が涙しました
鳴り止まない拍手の中
きょどが見た布から見える世界は
キラキラと輝いていました
こうして、きょどと呼ばれた
一匹の兎はその後
村の皆と仲良く暮らし
その兎の歌うあの歌は
こうもりお婆さんの歌という意味と
子守り歌の様に優しいメロディーで
「コウモリウタ」
そう呼ばれたという事です。
ぱたん。
静かに閉じた絵本に零れる涙
止まらぬ涙に気づかぬ位
こころを痛めたのは黒い兎
黒い兎ときょどは実は似ていて
共感する昔を思い出して
涙を流しました
黒い兎の過去を白い兎は知っていて
心配になりました
どうしたの?なんて聞いたりしたら
思い出話を始めて
きっとしばらく落ち込んでしまう
白い兎に出会ってから
普段気にしない様なそぶりだけども
本当はとっても心が弱い事を
よく知っていたので
その姿はまるで布を被った時の
それと同じでした
白い兎はベットから毛布を持ち出して
自分の上から被り
黒い兎を後ろから包み込みました
こうもりお婆さんがきょどを
布の中に招いた時のように
後ろからぎゅっと抱きしめて
「隠してしまえばいい。
あなたは沢山良い所があるんだから。
それでも思い出すなら、沢山泣いて。
全部、あたしが隠してあげるから。」
涙の布に覆われた目に映る
白い兎の顔がはっきり見えるまで
黒い兎は沢山泣きました
白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒
二匹はいつも一緒
今日も二匹に一冊の絵本
題名は「コウモリウタ」
ある村に住む一匹の兎
大勢の前に出るのがとっても苦手
周りの皆がおはようって挨拶しても
俯いてごもごも、もじもじ
初めは皆も優しくて
何度も挨拶したり声をかけたけど
そのたんびに下を向くので
段々皆も変わってしまった
面白半分に声をかけて
耳元で大きな声で
「聞こえてますかー?」
彼の周りを囲んでは
しゃがみ込む彼をからかいました
いつしか皆は彼の事を
皮肉混じりにこう呼びました
「きょど」って
そんなきょどにはただ唯一
話せる相手がいました
それは村のはずれに住む
こうもりお婆さん
こうもりと言っても兎
いつも布を頭からかぶり
手を広げた姿がこうもりみたい
村の皆はそれをみて
こうもりお婆さんと呼びました
「ばあちゃん!ばあーちゃん!」
ドアを開けるなりきょどは
こうもりお婆さんに飛びつきました
「なんだい、聞こえてるよ、もう。
どうしたんだい?何か良いことでもあったんかい?」
お婆さんは言いました
「何いってるんだよ、良いことがあったら涙なんか流すもんか。」
涙を、いっぱいに貯めて
きょどは怒鳴りました
あーでもないこーでもない
きょどは思いのままに
喉がからからになるまで
あったことを話しました
それをお婆さんはただ、椅子に座って
うんうんと聞き続けました
やがて話疲れて
きょどはその場にぺトン
お婆さんはきょどを抱き上げると
お膝に乗せて、頭を撫でました
そして優しく歌うのです
まるで子守唄のように優しい声
*あで始まる言葉はなーに?
それはあなたが迎える朝
ありがとうって言ってあげよう
赤いほっぺに 甘い飴玉
新しい靴で歩いてみたら
青空が挨拶してくれた
明日の朝にまた会えたなら
挨拶くれた青空に
ありがとうって言ってあげよう
いっつも歌ってくれるその歌が
きょどはとっても大好きです
何度も歌ってくれるその歌を
一緒に口ずさむと褒めてくれて
あんたは本当に綺麗な声だねって
誰にも歌うことはできなくても
お婆さんだけが聞いてくれたら
それで褒めてくれたら
きょどはそれで満足でした
きょどはお婆さんを見上げると
「なんでいつも布被ってるの?
皆こうもりだなんて呼んでるよ?」
お婆さんは柔らかい表情のまま
きょどを布の中に引き寄せると
「内緒の内緒のおまじないさね」
ニコッと笑って、ぎゅっと抱きしめて
全てを隠すような布の中で
きょどは両手を広げてみました
薄暗い明るみから見える世界は
ぼやっとした曖昧な景色で
でも手に触れるものは凄く確か
そこはまるで夢の中のようで
同時に不思議な気持ちになりました
それからしばらく時間を過ごし
夕暮れで帰る時にお願いをしました
「ねえ、僕にも布ちょうだい!」
優しく微笑みお婆さんは言いました
「あんたが大人になる前に」
それから幾月か経って
相変わらず、きょどはもごもご
そのたんびに泣きついて
それもまた相変わらず
お婆さんも優しく微笑み
いつものように歌を聞かせて
ただその声は日に日に弱弱しく
抱きしめる腕は細く痩けてしまい
それは、自然ときょどを焦らせました
きっと僕が変わらないから
お婆さんを疲れさせてしまって
だから皆の前で話せるようになって
安心してもらえば元気にまたなると
そんな風に思っていました
そんなある日
きょどはお婆さんが倒れたのを知り
急いで駆けつけました
たいした事はないさね、と
お婆さんはきょどを不安にさせぬよう
無理に笑ってみせました
きょどにはその笑顔が辛すぎて
まともに顔を見れませんでした
お婆さんは一枚の手紙をきょどに渡し
ポストに入れてくれと頼みました
それと、もう一つお手伝いを頼み
手伝ってくれたら布をあげると
約束してくれました
手紙をポストに出して数日
村の掲示板に張り出されたのは
お婆さんがパーティーを開く
そんな内容のポスターでした
お婆さんに聞いたら
昔はよくパーティーを開いてた事
あの歌を一緒に歌いたいと言う事で
普段なら断るきょども
この機会だけは避けてはダメだと
なんだかそんな風に感じたのでした
それからというもの
お部屋の飾り付けやご馳走の準備
歌の練習にと大忙し
あっという間にパーティー当日です
緊張で落ち着かないきょどを横目に
変わらぬ様子でお婆さんは
椅子に腰掛けていました
きょどを膝の上に呼ぶと
布の中に招き入れ
静かに話し始めました
「隠す事で見せれる物があるとしたら
あんたは、沢山良い所があるんだ。
その為なら隠してしまえばいい。
この布はね、あたしがあんたと同じ
わけも無く怖がってた頃にね
教えてくれたおまじないなんだよ。」
まさかこんなに長くかぶり続けるとは思ってなかったけどね
と照れくさそうに笑うと
きょどの頭を優しく撫でました
そして、手伝いをしてくれたので
パーティーが終わったら
布をあげると約束しました
きょどとお婆さんは
パーティーが始まるまでの間
沢山のお話をしました
子供の頃の話や
布を被った時の気持ち
お互いの事
どれも、新鮮で
きょどは普段どれだけ自分の事しか
話していないかに気づいて
ちょっぴり恥ずかしかなりました
お婆さんは少し眠くなって
ちょっと休むよと、こくりこくり
きょどはいつものお礼に
歌を歌ってあげました
優しく響くその歌声は
お婆さんの心に染み入るようで
本当にあんたの歌は素敵だと
幸せそうにお婆さんは目を閉じました
やがて、パーティーの時間がせまり
お婆さんを起こそうときょどは
その手を掴むと
冷たく
力無く
一つの終わりがそこにありました
信じられない位幸せな顔は
全てに満足しているかのようでした
きょどはそれを見て決心しました
次々と家に来てくれる村の皆
椅子に座ったまま動かないお婆さん
きょどはその中に入ったまま
お婆さんの代わりに挨拶をしたのです
「今日はありがとう」
「ようこそ、来てくれました」
「楽しんで行ってね」
普段なら口にするのが怖いはず
でもなんでか自然に話せるのです
食事も終わり
やがて歌の出番に
ろうそくの火が灯り
椅子に座るお婆さんが
ほのかに照らされました
布に覆われて俯くお婆さん
皆が注目したその時
お腹らへんから手が広がるように
横に布が広がると
お婆さんのシルエットの中に
小さな子供の影が重なりました
驚く声
怖くなり逃げ出す兎達
ドアに手をかけたその時
「待ってください、お願いします」
きょどの声で皆が振り返ります
きょどは布の中から話し続けました
驚かせてしまった事
皆がきょどと呼んでる兎だと言う事
そして、お婆さんが死んでしまった事
あぜんとする皆にきょどは
「こうもりお婆さんは言いました。
隠す事で見せれる事があると。
布に隠しておまじない。
布から見える世界は
やっぱり薄暗く曖昧で、
でも、不思議と話すのが怖くない。
教えてくれたお婆さんの為に
褒めてくれた歌を歌います。」
静まり返る中
広がるように響く歌声
天にまで届く様に
きょどは歌いました
*あで始まる言葉はなーに?
それはあなたが迎える朝
ありがとうって言ってあげよう
赤いほっぺに 甘い飴玉
新しい靴で歩いてみたら
青空が挨拶してくれた
明日の朝にまた会えたなら
挨拶くれた青空に
ありがとうって言ってあげよう
会えなくなったあなたにも
ありがとうをあげましょう
愛してくれてありがとう
あなたに会えてありがとう
その歌声に皆が涙しました
鳴り止まない拍手の中
きょどが見た布から見える世界は
キラキラと輝いていました
こうして、きょどと呼ばれた
一匹の兎はその後
村の皆と仲良く暮らし
その兎の歌うあの歌は
こうもりお婆さんの歌という意味と
子守り歌の様に優しいメロディーで
「コウモリウタ」
そう呼ばれたという事です。
ぱたん。
静かに閉じた絵本に零れる涙
止まらぬ涙に気づかぬ位
こころを痛めたのは黒い兎
黒い兎ときょどは実は似ていて
共感する昔を思い出して
涙を流しました
黒い兎の過去を白い兎は知っていて
心配になりました
どうしたの?なんて聞いたりしたら
思い出話を始めて
きっとしばらく落ち込んでしまう
白い兎に出会ってから
普段気にしない様なそぶりだけども
本当はとっても心が弱い事を
よく知っていたので
その姿はまるで布を被った時の
それと同じでした
白い兎はベットから毛布を持ち出して
自分の上から被り
黒い兎を後ろから包み込みました
こうもりお婆さんがきょどを
布の中に招いた時のように
後ろからぎゅっと抱きしめて
「隠してしまえばいい。
あなたは沢山良い所があるんだから。
それでも思い出すなら、沢山泣いて。
全部、あたしが隠してあげるから。」
涙の布に覆われた目に映る
白い兎の顔がはっきり見えるまで
黒い兎は沢山泣きました
白い兎と黒い兎
二匹はいつも一緒
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